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ギャラクシーif編エピソード「未踏の見識」阿羅耶識

  • 4 日前
  • 読了時間: 2分

聖殿への捧げものはその大半が死蔵されたままでいた。


未来への道筋は閉ざされたままで、その先を夢想する事も禁忌とされる有様…希望は現実という名目によって棚上げされたままだ。


それでも祝詞の言葉は延々と紡がれ続ける。それを受け止めて、形と成してくれる「創立者」が現れてくれることを信じて。



「毒にならないからといって薬になるわけではないということ。わざわざ確認することでもないはずよね?」


厳島の正殿に響いたその一言はこの場の気温をさらに引き下げた…天然の氷室のごとき冷ややかさが意識のみでなく体の隅々を凍てつかせるようであった。


いつにもまして苛立っていた美晴は目の前にひざまづいて頭を垂れる一人の少女に場を収めるにふさわしい釈明を求める気でいた。不可能な事では無い筈だ…前線で獅子奮迅の働きを見せる、その身に戦神を宿した彼女は答えを持ち合わせているからこそ謁見を申し出たのだろうから。


それでも彼女はいつまでも口を開こうとはしない。


その在りようは戦場における皆の精神的支柱、不動明王そのものの姿である。しかし今求められているのは防衛戦の戦果では無い。それがわからない彼女ではないはずなのだが、口上が始まる様子はまるで無い。


傍仕えの巫女は二人の対峙の様子を見ていられず、失神寸前の蒼白な顔でおろおろするばかりだ。


不穏な空気はますます場の様子を冥界のごとく変容させていく。


異界へ通じる門を開く時はこのような瘴気が満ちてくるものなのだろうと列席している誰もが感じるところだ…実際の境界門を見た事があるのは手で数える程の人数だろうが。


そして美晴が言葉を告げ終えてから刹那ほどの時間しか経っていないが、久遠のごとき体感時間は十分すぎる程の精神的苦痛を巫女達へ与えている。皆心身ともに限界が迫っていた。


美晴はこの謁見で何も得られないことを察すると、目線で傍に侍っていた巫女へこの場を閉めるように促す。


誰もが失意の中で解散の準備を迎えようとする中、少女は毅然として立ち上がり自身の愛刀を抜いて炎を纏わせる…その刃はあろう事か美晴へ向いていた。


しかし厳島の結界は彼女を縛ろうとはしない…まるで決闘じみた様子のこの場の異変を必然の儀礼だと認めたかのように。


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