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ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー未踏と未知が抱える神話ー

  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

そう、元々絶望を受け止められない程度の器が夢や理想の重みに耐える事なんてできない。必然だと思わない?


それとも様々な倫理や良識を犠牲にして専用の器を造る…?このひとつの禁呪のためだけに。


別に私は構わないけど、貴女にはそれなりの対価を支払ってもらうことになるわね。


必死に笑いをこらえて思わず吹き出しそうになっている彼女の顔は赤子の笑顔より無垢なものに感じられる。その様はまるで「ちゃんと言葉が喋れるの?自分の足できちんと歩ける?」とでも問われているかのようだ。


ステラは想定済みな筈のその様子に改めて危機感を覚える。


いや、実際感じているのはそんな簡単な感情では無い。失望と落胆がないまぜとなった憤りとも悲しみとも言えぬ情動の迸りだ。


それに小一時間ほど続けた言葉のやり取りは意思を疎通するためでは無かったらしく、この場の空気は瘴気で煮詰まった異様な魔力を発している。


しかもあの古代語解説はこの結界を編むためのキーワードだったようだ。これは何が召喚されても不思議ではない…神代の怪物や神格を顕現させることも容易だろう。


しかし何のために、今この場で私を儀式の一部に組み込んだ?まだあの計画は着手どころか準備構想すら途中だというのに。


今ステラの脳裏には彼女と紡いだ日々の記憶がフィードバックされている。人間としての生存本能がこの場を生存するための情報とリソースをかき集めているのだ…断片的な思い出、通ってきた日常、はじまりの因果の扉を開けた意思。だがそれらは余計な郷愁を呼び起こすだけでこれから起こるだろうことへの回答になってはくれない。未来のヴィジョンはいつまでも紡がれることは無かった。


彼女はその様子を楽し気に観察して、何気なく指を鳴らした…この先の台本の執筆権が彼女だけのものになった瞬間であった。



「ユーリア…この予知は誰かに話したりしてないわね?いくら独断専行で乗り切ってきたステラでもあの状況下ではどうにもならない。不確定要素をこれ以上増やせば魔術文化圏そのものの器が崩れかねないわ。」


「ふむ、だとしてもどうするつもりだ?”彼女”はそもそも当代の魔術では縛れない化け物だ。もしかすれば神代の封印術すら跳ねのけるかもしれないのだぞ…だからこそ我々は自分達で台本を書いてきたのではないのか。答えてくれディーナ…私たちに何ができる?」


明らかな不可能案件に対してユーリアの予知を当てにしてきたディーナに答える術が無いのは承知な上である。それでも問うことしか選択肢は無い…動かせぬ未来を見るだけの自分がもどかしい。


それでもどの道を選ぶかはできる事だ。この結論が神の考えた予定通りであったとしても自分たちの道は自ら創る権利がある。


ユーリアは改めて意識武装を終えるとディーナに告げる情報を選別することにした。


「賢い選択」という闇を現状から取り除くために。


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