ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー願望と要望の折衝攻勢ー
- 4 日前
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…あなたの描いたシナリオで事が進むと本気で思っていたの?呆れた話ね。
そもそも因果の組成に疑問を持つなど不遜にして傲慢。直ちに改めなさい。
あらかじめ予想していた通りの降伏勧告が彼の意識の中へ突き立てられた。
膝をつくことも落胆することも忘れて呆然とするその姿はあまりに痛々しく、見るに堪えない。
ざわつく側近達は目の前のやり取りを見て様々な思惑をささやき始める。
アシュレイ公のご判断とはいえあそこまできっぱりと処断するのはこの後の関係に亀裂を入れかねないのではないか?
いや公は人間の権利を元々確保する気が無かったのでは?
いくら血族の統治を担う公であったとしても人間の側の協力体制を踏みにじるような事はするべきでは無いだろう。
その漏れ聞こえる一部の声を耳にして夜羽子は危機感というモノの重さを感じている。
これほどに胸の内がざわめいたのはあの時の彼女との邂逅以来だな…これが歴史の転換点となる予兆なのか。
そうであるならば我が一族の行く末ももはやお母さまの一存で決める体制から脱却しなくてはやっていけまい…様々な要素が血族の断絶と滅びを呼び寄せているのは間違い無い「事実」だ。
夜羽子の瞳に映るこの場の茶番じみた舞台演出。
その影響が血族全体の未来と現実をこれ以上浸食するようならばこの台本を書いた脚本家と演出家に退場していただく必要がある。それがどれほどの「文化的価値」があるものであろうとも、だ。
その覚悟は夜羽子の意識を極限まで研ぎ澄まし、破滅への忌々しい道筋をしっかりと捉えた。
そう我々には英雄による救済も救世主の起こす奇跡も必要無い。賢い選択とやらに身を浸す気も毛頭無い。
これからの因果の在りようをあらかた見通した夜羽子は意を決してこの場の盟主の前に進み出た。
茨の枷を優雅に纏ったその哀れな姿のその前に。
「…それであいつは一芝居打って断絶しそうになったその場を丸く収めて見せた、と?普段のイメージからはだいぶかけ離れているが何故その情報を私のところへ持ってきた?」
「うむ、あやつと近しいそなたならば何か思うところがあろうと思ってな。ん、もしかしていらぬお世話であったかな?」
会話の主導権マウントの取り合いをするりとかわした鈴鹿御前は憮然とした表情の人狼族の長へ務めて優しく声をかける…まるで人間の幼子をあやすように。
「なあ、飯塚殿。我々は永い間それぞれの流儀を通してこの世界を生きてはいるが、自然の摂理に逆らう事はしない…その意味はそなたが一番知っておろう。」
「今更”協定”や”取り決め”の存在の大事さを説かれるほど私が呆けているように見えるか?鈴鹿の御前」
秋緒は剣呑な気配を発して鈴鹿御前に真意を問う。
その様子に対して困ったふりをした鈴鹿御前はしらを切りとおす事にした…激情と色眼鏡で曇った秋緒の視界が晴れることを祈って。

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