ギャラクシーif編エピソード「未踏の見識」極星帝国
- 4 日前
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人が夢から覚めるときは一瞬だ。
しかしどれほど輝かしい未来像も信じた成功への道程も儚く霧散するのがこの世の摂理…と見限るのは悲しいものだ。
だからこそ夢を見続けられるのは類まれで特異の才能なのであろう。
そしてそれを受け止める器を創り出せた者、出会えた者はその時点で奇跡を具現化させているのだ。
そもそも神ならぬ身でひとつの世界を生み出そうという試みが奇跡的であるのだから。
「…それで黄道宮の巫女達はもう招集を終えたのか?境界門の拡充は次の新月の夜を予定している筈。
全ての要素はとっくに揃っていなければならない時期だ…わかっていような?」
「はい、現地にはラウザ様が出て呪力や儀式の準備等の指揮を執っているところですね。」
この慎重を期すべきときにあのディーテアリアの力を当てにしなければならないとはなんとも歯がゆいものだ…。
レイナは歯噛みをして苦々しい思いを何とか飲み込む。結局のところ異界に干渉する為の力をこれ以上行使するには奴の能力がなければ成り立たない事は明白であった。人柱も無限に調達できるわけではないし、ミクトやアルヘナにこれ以上の負担を強いることはできない。
今更苦渋の選択などという言葉を使いたくもない…今はできる最高の要素を集めることだけが最優先だ。
いつまでも政治や派閥の問題に頭を悩ませているわけにはいかないのだ。
レイナは目の前で粛々と確認事項の決裁書類をチェックする参謀官に一瞥を向けた後、儀式場を視察しに行くべく腰を上げた…そして不穏な呪力の乱れを感じ取って周囲に殺気を放った。
執務室内にいた参謀官達は冷気などという生易しいモノではない剣気を受けてバタバタと昏倒していく。
その様子を見て不穏な物陰は乱れた力場から姿を現して挨拶の言葉を告げた。
「ふふっ…麗しの煌戦姫殿は本日もまた壮健であられる。寿ぎの祝詞がふさわしいところだが、専門はそちらではないのでこの場は省略させてもらってもよろしいかな?」
「貴様程の魔導師がわざわざ単独で乗り込んでこようとはな。歓迎するぞ…黄昏の黒魔導師。」
レイナはこの場を中心とした大規模広域魔術が起動しているのを感知すると、城壁結界の強度を青天井に設定し、目の前の仇敵に対峙する。
いま蠢いているこれは神代の時代に組まれた「魔導師以外を灼きつくす」という範囲殲滅魔術…ピュセルの奴が見た予見がこんな形で当たるとは皮肉なものだ。
レイナは自分が想定していた「最悪の事態」がどれほど生ぬるいものだったかを痛感せざるを得なかった。

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