ギャラクシーif編エピソード 「夢幻の誓約」極星帝国
- 4 日前
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”これは「正しいロジックの解法」を求めているのではないのだろう。” 「仕様書」の解読に取り掛かってすでに9ヶ月。 言葉の意図を手探りで探って曖昧な定義を組み直して再構成。果ての見えないその作業をやり続けて現状わかっているのはただそれだけだった。
この先に進むには”原典”と呼ばれる「仕様書」の原本が必要なようだ。…ただそれが今の時代の文化水準で読めるかどうかはわからない。今ある読みやすく翻訳された写本の解読でさえ満足にできていない状況を思えば、言葉による意思疎通のできない相手の方がまだマシだと思える。皮肉なものだ。
それに気力と精神力、意思の力はすでに限界を超えていて生命維持に必要な分しか残っていない。 迷子と遭難の区別がつかない今、意識が急に途切れて息絶えるヴィジョンだけが現実味を増している。 このままでは足跡を残す事もできずやってきた事全てが水泡に帰すだろう…確信できる観測だ。
彼らはそんな危機的状況においても神に祈ることをせずに己が理念を追求し続けることをやめないでいた。
「それも全て陛下の意向に沿うものだととして判断した、と捉えていいのだな?」 「ああ、そう受け止めてもらって構わない。これからも親衛隊隊長として忠義を尽くそう…統括官殿。」 その慇懃無礼の応酬はその場の空気を冷やしきるのに十分なものだった。
エラキスはその凍りついたこの場を確認してなお言葉を続ける。 「それに陛下はあちらの世界の魔導にも精通しておられる…最奥の真理にも明るい方だ。はぐらかす事など到底無理なこと。そして…」 レイナは手をかざして言葉を遮った。聞き続けるのが苦痛になったわけでは無い。
そう相対している相手が一線を越えることで覚悟を示す事を止めるためだ。 それにこちらの顔を立てる事で立つ瀬を無くそうとしているのは誰の眼にも明らかだった。 そしてレイナの側についてくれる皇帝直属部隊は最優先事態の対処に当たる為帯同をさせていない。
この場のあらゆる要素がエラキスの意のままに作用している。 アンタレス…お前だけでも連れてくるべきだったか? レイナは自らが取り立てた紅玉の瞳の少女を思い浮かべて思いを馳せる。しかしそれができるはずも無い事は一同承知の上だ。 その様子を眺めてエラキスは我が意を得たりとほくそ笑んだ。

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