ギャラクシーifエピソード編「夢幻の誓約」WIZ-DOM
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「夢幻の誓約」WIZ-DOM
「市原君。君の術式理論の合理性と美しさは認めよう。 しかし、適用できるモデルケースがあまりにも少ないのはどういうことだね?」 「…それは有用性の点で疑わしい、ということでしょうか。」 麻奈歌は投げかけられた言葉の意図を確認すべく、あえて疑問を示す言葉を返した。
「そういうことではない。だが、仮に君の先天的ファクターと術式の親和性を持ってしか結果が出せないというのならば汎用術として成立させるのは難しいのではないかね。」 意図して重ねられたその言霊は麻奈歌の魔女としての資質を問うものではなかった…それでも彼女の意識を揺さぶる事は可能だった。
動揺していないと自身に示すにはあまりに足場が脆い。 彼女の意識は今にも奈落に吸い込まれそうな深度の闇を内包しているのだ。 黙り込むしかできない麻奈歌に教授は最後通告を示して話を締めようと口を開きかけたその時。 場違いな程涼やかな風が吹き抜けて、教授は明らかに機嫌を傾けて視線を移す。
「どうしたのかな?教授。あなたのいつもの決めセリフを聞かせてくれないか?」 「ヴィルヘルミナ殿…カバラのセフィラがこんな辺境の研究室に何の御用かな。アンドレーエ卿のご意向ですか?」 その場の言霊を用いたマウントバトルは聞いているのが物理的な寒さを感じられる代物となっていた。
「あなたはまだこんな事を続ける気なのだね…まさかこれが学院長の耳に入ってないだろうなんて希望的観測は持っていないだろうね?」 ヴィルヘルミナは手元の機密資料をこれ見よがしに強調して見解の説明を待つ。例え出てくるのが荒唐無稽な自己擁護でも聞くに堪えない弁明でも構わないと言いたげだ。
「今度は恫喝ですか。それが上の意思だと?」 「あなたに聞かせられる理由などありはしないよ。そして私が正義の使者を気取りたいわけでもないさ。いくら魔導の世界が魑魅魍魎しかいないとしても、獣の餌場とは違うと信じたいのだよ…それだけさ。」 ヴィルヘルミナの言葉が終わる前に協議は終わった。
それを端的に示すように教授の周りを瘴気じみた魔力が収束している。明らかに拠点制圧や広域殲滅に使うような対城級魔術が起動している…麻奈歌は逃げようとも対魔防壁を編む事もできずにただ立ち尽くした。 ヴィルヘルミナはこの状況をいかにも楽しそうに見つめた後、取って置きの秘術を繰り出した。

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