ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー説明と釈明の為の待機時間ー
- 4 日前
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しかし、先代が締結していた「茜色の約束」を履行できる魔術経路はまだ残っているのでしょう?
ポーラは愛用の眼鏡を外してなるべく優し気な面持ちを作って自らの従者に語り掛けた。
最低限「調査中で目途がつかない状態です」ぐらいは期待していたが、それすら望めない状況であることはこれまでの説明で明らかだった。
この場に集まることのできたアルカナの面々は石像のごとく固まる従者を見て、それぞれが議場の主であるポーラへ視線を投げてきている。
無理なのか?
無謀であったのか?
…もしかして無策なのか?
それぞれの疑念はポーラの自我を炙り続けてくる。想像はしていたがこれほど事態が困窮してくることを想定したくなかっただけかもしれない。
さらに悪いことに理解者であり実質的な実働部隊を動かしている世界のアルカナの彼女は評議会の方の問題を担当しておりここにはいてくれない。
この場での公式見解は自分がまとめなくてはいけないが、現場からの報告書だけでは結論が絞り切れない。
あまりの自分の無力さはこの場の責任の重さと相まって意識を白く塗りつぶしてくる…だが忘我したところで事態を進めてくれる者は存在していない。
折り重なる多重の否定要素は議場の存在意義を限りなく無に帰そうとしている。
それが何を意味するのか、これからの未来がどうなるのかを受け止めようとしたポーラの心は過重に耐え切れずにその時間を止めることとなった。
「君は乗り越えることが得意なようだね?その特性は存分にこの場で発揮させてくれ。
そうだな…物資と権限はできる限り保障しよう。期待しているよミス・スウェーデンボルグ。」
君にも主の加護があることを祈っているよ。
そう言葉を締めて、レミリアの双眸をさも珍しげに眺めてから学部長はあからさまに靴音を立てて工房を出て行った。
無理難題をこなし続けてやっと最前線に出られたと思えば今度は得られたものの鑑定と実用化…環境づくりと「初期設定」の丸投げ。これでは数年後に自叙伝形式の偉人伝とか書けそうである。
これで全部成し遂げた末に異世界にいるフォルナと出会う事が叶ったなら映画でも作ってもらおうかな。
笑えない冗談を真面目に考えだしたレミリアは鬱な気分をそれで笑い飛ばして窓を開け放ち、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。
今まで積み重なった否定要素が自分の成しえたものの存在意義を限りなく膨らませてくれる気がした。
それが何を生み出すのか、これまでの過去がどのような意味を持つことになるのかを受け止めたレミリアの心は幾分晴れ、その時間は動きだした。

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