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ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー要請と批准の越えられない関係ー

  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

「そう、プラスかマイナスかでいえばマイナスね。」


栞の言葉は簡潔に過ぎるゆえにこの場の空気に染み渡った。


今まで誰もが感じていた違和感に誰もが踏み込まなかったのはまがりなりにも日常を支えていた不文律の重要性に一目置いていたからだ。


しかし栞はこれからの日常がその暗黙の了解で維持されないことを鑑みて処断の意思を示した。


そして当たり前の存在であったそのモラトリアムを崩す事や運営基盤の組みなおしを通達する段になった…


だがこのまま粛々と議場の進行をするのはまずいのではないかという空気が濃くなるのを誰もが感じている。困惑と逡巡の色がこの場の代表格の顔全てに示された。


そのタイミングを逃さず古株の元締めの代表が不快を隠さずに声を上げる。


「お言葉ですが鹿島様。あなた様がこれまでの重大事案の解決に不可欠な存在であった事に誰も異論は唱えますまい…それでもわれらの日常の決まりや組織の現場運営のやり方にまで手を伸ばすのはいささか越権事項ではないのですか?今意見を取りまとめた彼としてもこれ以上立つ瀬を無くされては若い者たちに示しが付きませぬ。どうか賢明な判断を賜りとうございます。」


慇懃無礼スレスレの「社交辞令」を眉一つ動かさずに突き付けた老術師は目の前の少女を威圧する気配を露わにして言葉を切った。


「所詮は才能と器量が少しいいだけの小娘が」と言いたげなその表情は「我らの日常はお前が創ったわけでは無い」との意思を言外に示しており、それを認めるまでは話を進める気は無いと告げている。


”我らの日常は我らの意思と判断で創り上げる”。…その表明が何を示すものかは誰もが自明である。


だが栞はその様子を見ても悲しげな色を顔に写すこともなく、自らの決裁を承認することを皆に求めた。



「美作様…鹿島様からの支援要請、受けるのですか?この件に一枚噛むとなれば体制に協力的でない陣営に付け入る隙を与えることにも」


壱与は側近の巫女の言葉を一瞥して断ち切った。


そのような事は言われなくてもわかっているし、それを想定に入れていないわけが無い。


怪訝な空気を放ちかけて壱与は手放しそうになった意識に努めて冷静を保つ…ここで取り乱してはこの事案に潜む魔物にそれこそ隙を見せることになる。本末転倒だ。


その空気の変化を感じ取り、傍付きを長らく務めている巫女は自らの失言を詫びる事も忘れて黙り込む。


創世神話に関わるほどの神格の依り代の感情が揺らぐことが何を意味するか忘れてはいなかった筈なのだが、何故ここまで自分の意識が揺り動かされたのかわからない。


この意思疎通の経路が幻惑されているのか?この霊地における結界内で?


我が主にアイコンタクトを向けて現状進行中の「異変」を知らせようとした彼女は壱与の放つ神気が異質に変化していることを感じ取り、ありったけの呪力を持って周辺の霊地へ救援要請を送った。


…国譲りの神話が再生される鼓動がこの霊地に響き始めたのはその数瞬後の事だった

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