ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー受容と承認の規格維持ー
- 4 日前
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そういう事ではないのだよミカエル…君も現地統括をしているならばわかっていてくれて当然だと思っていたのだがね?
唐突な本国からの秘匿回線で伝えられた通達は不穏で抽象的な言葉で始まった。
「恐れながら閣下、こちらには最早十分すぎるほどの戦力があります。このまま攻め落として何が問題と言えるのです?」
意図的に質問を質問で返したミカエルの瞳に怜悧な光が宿ったのを見て、本国の宰相は肩をすくめて困った顔をする。そして聞き分けのない子供に噛んで含めるような話をしようという姿勢がいよいよミカエルの感情を逆撫でしていた。
「そちらの星にもゲームという名の文化があるだろう…私たちの未来もそういったものでこれからの道を占っている。そして流出した我が軍のモノリスはなかなかに面白い現象を生み出していると聞いたぞ。それをただ焼き払うには惜しいものだ。それに」
…自らの愉悦に浸る宰相の言葉はミカエルの意識まで届かない。当然だ。
神の視点を気取った不遜の輩の話を理解する気は元から無い。
そしてミカエルはこれからこの宙域に派遣されるという新しい恒星間キャリア母艦に何が積み込まれて来るだろうかに思い至り、目の前の上官を敵と認識した。
「恒星間キャリア母艦”クラウディアⅡ”…?なんとも不吉な言葉組みですこと。イレイザーの科学水準は
こちらの何世紀先をも行っていますからどんな事が起こりうるか想像したく無いですね。」
今日香は千里への定時報告に際して懸念のある事実から先に伝えることにした。
今でさえ膨大な物量で押し寄せているイレイザーの艦隊群に対して辟易しているのに本国からの隠し玉など持ってこられてはどんな事態になるか分かったものでは無い。
”石”の解析により多少なりともオーバーテクノロジーを得たものの、本家に及ぶほどのレベルでは無いだろう。慢心と過剰評価は簡単に我が身の破滅を確定させるものだ。
自らの異能で予測ヴィジョンツリーを確認した今日香はそれだけで滅入っていたのでこれ以上の不確定要素など想定したくないのが正直なところであった。
明らかにげんなりしている今日香の顔色に危惧を感じた千里は今回の事案の深刻さ具合を察して危機意識をさらに高める事にする。未来予知も緩んだ心では目に見える因果に振り回されるだけだからだ。
そして一瞬の逡巡の後、千里は現場管轄権限により例の件に携わった人員の派遣を上層部へ打診することにした…そう”石”の影響により「神域」とされる境地に達した者たちをいよいよ本格投入するのだ。
これ以上望ちゃんに例の件を背負わせ続けるわけにはいかないものね。
千里は望の成しえた今までの功績に改めて感謝を感じた後、決済書類に承認印を押印した。

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