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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー誠実な欺瞞と初恋の憧憬ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

そもそも何の為に「世界」が生み出されるか知っているかな?



そう、「秩序」が生まれる土台になるため。


そして「良識」が稼働できる基盤を整えるため。


さらには「希望」が具現化される地盤を用意するためだ。


最近はそこのところを履き違える者があまりにも多くて困ったものだよ。


”彼”は自らの信望者に向けての「アドバイス」を一通り終えた後、壇上に用意してあった水を一口飲んで一息つく。それは今講義した内容について聴衆が感嘆を自らの胸の内に飲み込むための猶予を与えているのだ…どれほど自分たちが崇高で実用的なことを聞いたのかを噛みしめる時間を持たせるためでもある。


そしてその状況を観測し終わると”彼”は再び講義を再開していく。


事前に配布された案内書の目次は聴衆の意識を奈落の底に運ぶ黙示録のごとき濃密さでそれぞれの思考力を絡めとっている。


会場のボルテージは奇声や歓声が響かないのが不思議なくらいの熱量を孕んでいて、熱望の視線は更なる言葉を求める意思表示がされていた。


その視線を真っ向から受け止めて満足げな表情を聴衆へ向けた”彼”は神託でも告げるかのごとき陶酔加減で言葉を紡いでいく。


…そう、つまりは経験則の蓄積こそが直観力を研ぎ澄まし世界をも変えうる運をも運ぶのだ。


締めくくりの言葉を吐き出した”彼”は恍惚とした表情を繕いもせず、陶然とした夢心地の中で持論を語り終えた夢心地に浸っている。


その姿は聴衆が今まで”彼”に抱いていた畏怖と憧憬とは違う感情を抱かせた。


現実という言葉の存在意義が明確に塗り替わった事をこの場の誰もが否定できず実感することとなったのだ。




「そう、貴女があの”セレスト・フォール”の一員でありあの場の決裁を任されていた責任者ということで間違いないのね?藤宮…舞花さん。」


「ええ、非才の我が身が藤御堂のご息女への拝謁の権利を賜れたこと誠に光栄に思います。」


悠華と舞花のマウントバトルのお互いの初手は五分といったところだろう。


藤宮の苗字を背負う事の意味を真由美の背中から学んできた舞花。


藤御堂の名前を冠することの意味を先代当主から受諾した悠華…両者が自身の有する特殊な異能を支配できていることの意味するところを周囲の人間は畏怖と憧憬の念を持って自任していた。


それは自身のアイデンティティとして唯一無二なものだったはずだ。


だからこそこの場で自らに互角に対峙している相手に対して疑念を持つに至る。


先日の案件での主導権を握れるかどうかはこれからの自分だけではなくサポートをしてくれている関係者やその家族の皆の運命を左右する権利を保障できるか否かを決定づけるものだからだ。


だからこそこの場に対面している人間の放つ違和感がお互いの心中を揺らしている。


…この少女の姿をした異形は何者なのか?


それは”異常”や”特別”の意義を独り占めにしてきた二人が初めて抱く感情。


そして自らの存在意義を揺るがすだろう初めての存在であることは確かなようだ。


それでも悠華の方が先に意識の主導権を握る…そうだここは私の狩場である。お客様には礼節を弁えていただこう。


悠華は優雅な所作で目の前の一体の魔獣に対し厳かに席を勧めた。


それを受けた舞花はにこやかな表情でそれを受け取り、研ぎ澄ませた「牙」を鷹揚に輝かせた。


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