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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー自立と自律のただならぬ関係ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

鏡の国の眠り姫。彼女のことを確かにそう呼んでいたね?


ただの事実確認に過ぎないその言葉は明らかに破滅の要因をこの場に生み出していた。


彼女の耳で異質に輝く黒真珠のようなものがあしらわれたピアスが揺れるたびにこの場の不穏な空気が妙な粘度を持って私の意識を侵食してくる…緩やかに表れたまどろみが意識の主権を差し出すように主張している。


そして不快なほどに存在感を放っていた彼女の相貌に優しい光が灯ったように見えたその時、私の自我は私自身の意識のコントロールを離れていった。


”もういかなる苦しみも痛みも抱える必要は無いんだよ?”


そう、かつてずっと望んでいた筈の言葉がしっかりと刻まれた私の魂。その構造体は楽園という名の「理想郷」へ旅立つことになった。



「またしても”ルナティック・センシズ”とは…至急Type-C対応で進めるように。それから」


朱鷺子の意識を焦燥感があぶり続ける。度重なる超越者への対処で最近は現実も日常もズタボロだ。


これで心身のバランスが崩れて戦線離脱ということになったら避暑地療養を経費で落としてやる。


今自分の持てる権利の私物化を真剣に検討し始めるぐらいにはまだ余裕があるぞ、と自らを鼓舞して山積みの未決裁書類に向き合う。でもこのままでは…


「三条チーフ…三条チーフ…あのー朱鷺子さん?」


「…」


いかにも不愛想を絵に描いたような塩対応を受けていた今日香は朱鷺子に対してアプローチを試してみるがまるで立つ瀬が無い。


現状朱鷺子の視界に入ること自体が困難な状況であるのは変えられないと覚悟した今日香はしょうがなく今回の「お土産」を取り出すことにした。


まるで結婚指輪でも入っていそうな指輪ケースに入れてある黒真珠のごとき輝きを放つ石があしらわれたピアスが一対。


これを持ち出すのはもっと人払いが済んで落ち着いてからとは思ったが仕方がない。


今日香は指輪ケースをこれ見よがしに朱鷺子の視界に入れながらそれを開く…すると途端に濃密な気配がこの場の空気を染め、この場の人間が揃って振り返った。


「篠崎さん、あなたそれは」


思わず口に出たその言葉。朱鷺子はこれから塗り替えられることが確定したこれからの自分の運命を嘆く暇も無いことを自覚するに至った。


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