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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー神秘による開拓、論理による開闢ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

これからも予測と予知を一緒と考えるのはあまりにも危険ではないのですか?


トーンを抑えて放たれた筈のその一言は暴力的な程にこの場に浸透した。


そう、今まで暗黙の不文律とされてきた楽観的観測の存在理由をあからさまに否定されて誰もが二の句を告げないでいる。


放置されすぎたことによる指揮系統のおざなりな現状、前線における士気の温度格差、経験則に頼りすぎたことによる歪な戦術理論。それら全ては理想と現実の乖離を現在進行形で広げていた。


それでも日々の日常は問題を表面化させずに回っていた…誰もが歪んでいく理想像を直視せずにいつもの「現実」を受け入れていたのだ。


その”平穏な日常”を崩そうとする姫君に対し、いつもは友好的な領主達も疑問や反感の意を示している。


それは当然の反応であろう。


誰もが叶う筈が無いだろう願いや理想像と折り合いをつけて生きているのだ。


その点について改めて問いただそうというのは現状の皆の貢献を無意味と断じる事と同義。


それがどれほどの背任行為になるかわからない者はこの場にいない。


…しかし姫君の「問題提起」に口を挟むものがいないのも事実であり、彼女の見てきた「未来」に異論を投げかける者がいないのもまた”現実”だった。


そして彼女の論説以上に雄弁な議場の円卓に映し出された巨大な水鏡。


いつものように水面に浮かぶ美しい月影は姫君の掲げる「理想論」のごとく美しく、存在感を主張し続けていた。




「それで”予知と予見の鏡”についてはこの程度の情報しか無いというのですね。それに”眠り姫”についての情報はまるでゼロ。流石に自らの存在意義を自問したりはしなかったのですか?」


「お言葉ですが我が氷雪の君。私の無能ぶりを詰るだけなら存分にしていただいても構いませんが、今回得られた映像データは皆の身命を賭けてようやく得られた希少なものです。その点を配慮できないほど貴女は愚かでも冷酷でもない事を私は知っております…どうぞ寛大な処置を賜りたく存じます。」


恭しく傅く幹部メンバーに対し、紗絵はやれやれといった風に溜息をついて視線を目の前の報告書に戻す。


今回の実働隊の働きが悪かったわけでは無いのはわかっている。


そして小山内家のネットワークもかなりな割合で動員してこの結果なのはさすがに解せない。


しかしあれほど巨大な因果律干渉を行える能力を何の縛りや制限も無く展開・稼働し続けられるわけもあるまい。


必ず何らかの「仕掛け」や「急所」があるのは必然なはず。


それでなくばこの世の摂理にそぐわない…いやその点が彼女を天界の民たらしめる理由なのか?


見つからない答に不安を抱き、紗絵は自らの氷の居城に張り巡らせた異能領域に思いを馳せる。


いかなる因果や可能性も等しく氷漬けにするその空間はあらゆる者の未来を閉ざす絶無の牢獄であり天界の民でもそれは例外では無い。


天界からの浸食、いや侵略を止めるための切り札であったこの異能。彼女はその存在意義ごと塗り替えてしまおうというのか…?


紗絵は突如心中に沸き上がった疑念に対して未知の感情を抱くに至った。


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