ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー理解力の欠如と想像力の欠落についてー
- 5 日前
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私は見たもの…あの景色と確かに共にあったあの人の姿を。
彼女は自らのかつての美貌を思い出したかのように胸を張り、朗々とした声で訴えかける。
その在り方は当時の威厳と求心力を欠いた風前の灯のごとき哀れな偶像であったがこの場に集った古参の者たちにはどうでもいい事だっただろう。
「現実」には到底存在できない夢想と理想論、実際には立脚が不可能だった構築ヴィジョン、事実上運用が不可能になった未来への道筋。
誰もが光り輝ける舞台と成りえるはずであった一帯の固有世界は殺伐としたレッドオーシャンの縮図と化して久しく、冷笑と失笑だけが浴びせられている。
しかし彼女は確定した筈の終末予測を否定するかの如く前線で旗を掲げた。
そう、「事実」を認めていないわけでもあり得ない奇跡を期待したわけでも無い。
まだこの場を切るカードを秘めているのも私の「現実」…自らの存在意義を捧げてこそ発動が可能な禁忌の手段。
私の意識そのものを「世界の摂理」と化し私そのものを名実ともに神と成す稼働領域は無傷のままだ。
そしてその始動キーとなるのが私の霊的構造体と生命マテリアルの結晶であるこの肉体…凍結された世界を再び呼び起こす唯一無二の動力だ。
彼女はそこまでを確認した後で自らの不死術式を解除して魔力を爆発的に飛散させる。
その場一帯に降り注いだ破滅的魔術因子を受け取った全てのものはその鼓動に呼応するかのごとき脈動を始めた…彼女を造物主と認めた証のように。
「それが今回観測できたあの”女主人”の最期だったというわけね。そして現在稼働している人工神域を管理しているのが彼女のお付きであった魔導士で”アダムス・アリステイル”…?これはどういうことかしら蒲田さん。」
千里は聞き覚えのある名前を目にして脊髄反射的質問を愛耶に向ける。
「そうですね…なにから説明したものか困りますが、先日の”ボーダーライン”に関する事案の時お会いしたカバラのセフィラであるミス・アリステイルを覚えていますよね」
愛耶はゼロからの前提確認を始めようとして千里の怪訝な視線を受け止めた。
まずかったな、という顔をしそうになって再度何でもない風を装う。この時点での意思疎通でしくじっては「この先のサポートは無く全てのことは自己責任」というエキストラスーパーハードな任務を請け負うことは確定事項である。
俗にいう「そこまで言うならお前が全部やってみろ」だ。
そこまで思考が走ることコンマ5秒…愛耶の脳内回路は目の前の緊急事態を解決する最適解を紡ぎだすため膨大な脳内物質を分泌する。
それを受け取った愛耶の思考回路は「現実」を組み伏せるための情報を組み立て始める。
その時愛耶が見た走馬灯のごとき荒唐無稽なイメージの奔流はこれまでの定石と正着を全て押し流す説得力をもたらそうとしていた。

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