ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー理不尽蓄積が起こす不条理進行についてー
- 5 日前
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かつて意識に焼き付けられたあの日の月明かり。
あの日感じた想いと景色の中には誰もが自己実現を叶えられるかのような神秘性が確かに実在していた。
それは水面の月影や砂の楼閣にも十分すぎるほどの「現実性」を与えられた奇跡の一幕だったに違いない。
そこから共有された構築理論や具体的実行論議はいたるところに成功像を具現化して繁栄の原型を築いていった…自らの足元が見えなくなるほどの空を皆が駆け抜けていく「”自由”の顕現」を誰もが受諾できた。
そう、創生神話の1ページ目の内容が暗黙の不文律として「平等」に分け与えられた夜のことだった。
「それでその時発現を促された異能をまとめて”ルナティック・センシズ”と呼称することにする、か。でも結局は「ピジョン・ブラッド」案件じゃなかったの?鯨井教授が熱を上げていた「意識領域構築からの意図的異能発現」とかいうやつでしょ?」
千里は上がってきたレポートという名の情報の羅列に目を通してため息をついた。
あの件は開発側からも「実用に耐えない」という所感が出るほどの理想論として片づけられた筈。
いくら上層部の覚えがいい鯨井教授だとしても自身のワガママのみではこれ以上その研究を続けられる道理は無かったというのは誰もが理解しているところである。
では何故似たような案件がわざわざ現場に通達されたのか…?わかっている。そう自明ではあるのだ。
しかし…
「その発現した異能というのが神の奇跡レベルとしか思えないカテゴリーのものばかりだったということなんですよね。常人の発想では出てこないコンセプトの」
千里は説明を重ねようとした今日香の言葉をいったん静止して思考を整理しなおす。
今私に必要なのは改めての事実確認でも現状把握でも無い。
やるべきなのはこれからの脚本を成り立たせるためのヴィジョン構築素材集めとプラン実行を可能とする人材選定だ。
いつも頭痛の種となっているその作業がより増大した苦悩を持ってくるだろう確信を得た千里は形ばかりの共有を示している今日香に対して最低限度の要請をすることにする。
未来を「予習」してきているだろう彼女の提案に少しでも希望を見出すためだけに。

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