ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー現世の眺望が示すミライと「可能性」ー
- 5 日前
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用意してあった神具の器が使えなくなった、と…その報告をこの場でする事に意味があるとでも考えているのか?
レイナは報告を持ってきた帝室の側近に明らかな侮蔑を持って応じた。
それを見ていた円卓を囲む十将軍達は様々な対応を見せる。
涼やかにそれを見つめる者、立ち上がって擁護の声をあげる者、詳しい説明と応対の必然を訴える者。
騒然となった議決の場は意思と感情が吹き荒れてとてもではないが論議をするどころでは無いようである。
そのあまりの騒乱ぶりを見かねたアルヘナは傍らの憮然とした表情の上長に疑問を呈することにする。
「ディーテアリア様…このままでは直轄の部隊の士気にもかかわるでしょう。アークトゥルス様へ進言なされては?」
「統括官殿が私の言葉を受け止めてくださるような状況ならばそもそも今の報告はなかっただろう。起こるべくして起こった不都合だ…境界門拡大の勅命が下った時からわかっていた筈の事。それに」
ラウザは一旦言葉を切ってレイナの方を一瞥する。もちろんアイコンタクトを取ったわけでは無いのだが、レイナは一瞬ラウザの瞳を見つめると円卓の方へ意識を戻す。そして棒立ちになっていた側近は待ち焦がれていた退室指示を受けて転がるような勢いで議決場を出て行った。
この一瞬で認識の擦り合わせが済んだらしい事を察したアルヘナは現状何を自分が持っていなければならないかを直感した…存在の不死性を持つ自分だけが切ることのできる禁断の手札。
選択肢上の成功を確定させるその切り札の意味を示すのが今まさに求められているのだ。
より一層昏い光を瞳に宿し始めたアルヘナの様子を満足気に見ていたラウザは我が身の混沌が持つ高まりを抑えきれずに口角を歪めた。
「それで…うちらの領域にも戦線移動の通達があったって事でいいのかい?」
「そうだ。これからはよりあちらの世界に打って出るって事だろうな。」
ユーウェインは気だるげに応答するムリフェインに対して苛立ちを感じたが今はじゃれている場合でも無い。最前線での戦線維持はより激しいものとなるだろう…一族や友軍の命脈と未来が繋がるかどうかの戦いは始まったばかりだ。
しかし妙だな。今の話だと意思決定の場が機能停止しているようにしか聞こえなかったが、それにしては具体的な戦略策が下りてきたものだ。
つまり元からの茶番劇が意味していたものはもしかして…
詮索思考が止まらないユーウェインが地雷原に足を踏み入れようとしたその時、夜空には煌々と光を満たす満月がこれからの現世の舞台を照らしだしつつあった。

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