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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー燃焼と引火のマリアージュ要因ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

「”至純”の猛火」…彼女は確かにそう名乗ったのだな?


極度に乾いた空気の中で口を開いた上官は現地の被害状況に微塵の関心も無い様子でそれだけを確認するに留まった。


異能者の振るった能力が巻き起こした災害にも等しいこの場の有様。


まずそれの収拾を指示してくれるものだと現地の人員は揃って信じていた。


しかし駆けつけてくれた筈の同僚達は現地のリソースを疑いも無く次の作戦行動の為だけに費やしている。


そしてその様子を呆然と見ていた私達に向けられた視線に込められた感情は同情でも憐憫でも無かったのだ。


そう、運命の歯車に求められるのは現場が稼働するための機能だけだったから。



「”プルミエール・スカーレット”…?何かの暗喩だったりするのですか?」


「いや、それが正式なコードネームとして扱われているのは確かね。今手元の情報でわかるのは超法規的魔術ギルドを指す単語だということだけ…というのが”表向け”の対応なの。」


千里はあからさまに訝しむ新名の様子を見て気まずさを感じ、詳細を噛み砕く手間を取ることにする。


「元々は「”生命の解体”から純度の高い魔術要素や魔術的マテリアルを取り出すスキルを持つ者たちの互助会」という体で成立した組織みたいね。そしてその「技術」が重用されるようになって持つ権限も肥大化していった、というわけ。」


千里の言葉に対して新名はきな臭い案件への対処が確定したことを受容して思わず眉を寄せた。


実務に関わるものに付きまとう毎度の「聞いたからには逃げられないぞ」という暗黙の了解と「事後承諾」…いつものことながら反吐を吐く思いだ。


「つまりはその「技術」をあわよくば手に入れて実用化しろ、みたいな流れって事でいいですか?」


新名はいずれ千里の口から出てくるであろう”通達”を事前確認する事で話を打ち切ろうとする。


まあどうせ肝心な部分の情報は自分で裏を取るしかないのである。思わせぶりな言葉を消化する労力すら出すのが億劫であった。


テーブルの上で存在感を失っていた冷めた紅茶を一気に飲み干すと新名は立ち上がって思考を切り替える…非日常下での判断ルーチンを起動させて戦闘準備は完了だ。


だが最早この場に意識を置いていない新名に千里は最後の言葉をかける。それは「健闘を祈る」でも「グッドラック」でも無い事実の通達だ。


「そう、上からの要望はそういうことに違いは無いみたいだけど”至純”の二つ名が意味するのはただの統括役ではないということらしいの…なんでも「事案の独自決裁権」を握っている者の称号ということだけど」


新名は千里の発した情報が死神へのアポイントを誘発する要因であることを察し、以後の情報取得をシャットアウトして部屋を後にした。








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