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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー無色の希望、灰色の展望ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

ふむ、それでは貴方が先代から譲り受けている筈の「僥倖の祝印」…それを私に預けてもらえますね?


全身に浴びた返り血を拭うこともせずに彼女は伝えるべき言葉だけを言い放った。


物言わぬ屍同然となった組織の代表は緩慢極まりない様子で自らの魔導刻印を摘出する。


彼の命と魂に同期してあったはずのそれは彼を見限ったかのように輝きを失った。


…正当な儀式の上で譲渡されなければ秘められた秘術も蓄積された知識も得られない事は彼女自身が一番熟知していたはずだ。


そしてこのような簒奪された刻印が通常通りの祝福を授けてくれるわけもない。


それでも彼女は刻印所持者の有することのできる称号をこれから名乗れることに大層ご満悦のようである。


この場の誰もが彼女の力をこれまで以上に畏怖してこれから受容せねばならない運命を覚悟した。


こうして書き変わった「現実」という名の魔獣の舌なめずりの音が誰の胸にも染みわたっていったのだ。


その「事実」がこれからの支配者の象徴となった瞬間であった。




「そうね…平日の業務の大半が”日常維持”なのだから「維持システム攻略」や「システム不備探し」が娯楽になるのは必然よね。」


利き手でペンをもてあそびながら何気なくつぶやいたその言葉はたやすくこの場の空気を凍結した。


無理もない…その為に運用されている物資や人員がどれほどの重要度をもって日常を守っているか、その重要度がわからない人間が一人でもいるはずは無かった。もちろん当の本人もそんなことは百も承知である。


それでもなお言葉は吐き出され続ける。


「それにさあ娯楽としての非日常ってのは刺激がありさえすればいいものじゃ無いってのがわかってないんだよあの連中は。それに」


聞くに堪えないその”独白”は論点ズレを指摘する声を待ってすらいるようでなんとも苛立たしい。


彼女がこの現場に呼ばれた事でどれほどの不都合が現場に起こりうるかは”実務”に携わっている者なら周知の事実…それを承知の上で呼んだという決裁が意味するところはひとつである。


そして誰もが直視したくないその「現実」を許容することをついに決意した現場のチーフは彼女に対して交渉を持ち出した。


あからさまに皆の尊厳と意志の自由が乗せられたその皿を見て満足げに笑みを浮かべたその可憐な素顔。


「悪魔との契約」にサインするのが初体験であるチーフ自身が苦々しい感情を隠せないのも無理はなかったのだ。


人間の理屈が通じない世界での行動規範…それを学ぶ場所はこれから生まれるのだから。

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