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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー演者と舞台装置の誠実な対応とは何か?ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

…そのささやきはまるで森の小鳥ね?


彼女はそう言って言葉を切ると私から視線を外して微笑んだように見えた。


その華奢な姿に思わず手を伸ばそうとしたとき、視界が揺らいでいった。


まだ何も伝えていない。


伝えようとする言葉すらまとまってはいない。


しかしここで眠りに落ちてしまえば二度と君の隣にいることはできないだろう。


妙な確信が私の意識を焦がしていく。


そう彼女は私が眠りについたあとで人である日々を捨てて久遠の時をひとりで生きる道を選ぶのだ。


だが彼女ひとりの命ではその願いは叶えられまい。


だからこそ私はこの場まで彼女のエスコート役を買って出たのだから。


そしてここまでの同行を許容してもらった事で油断していた事は否めない…そもそもこの場に充満した違和感は私の覚悟を試すためのものではなかったのだ。


その事実が直視したくなかったこの場での「結論」を突き付けてくる。


不意にざわざわと周囲の木々が不快な密度の魔力を持ってこの場の空気を染め上げた…


彼女の抱く未熟な理想がこの場の「現実」として具現化した瞬間であった。



「それでこのロミオは神様になったジュリエットを冥府まで迎えに行った…とかじゃないのよね。誰が書いた脚本かわからないけれどこれでは単位がとれないわよ?わかってる?藤御堂さん。」


風花は外資系高級ホテルのロイヤルスイートも霞むようなこの場の空気を不快げに吐き出すと悠華に向けて小言を連ね始める。


その様子は”まず相手の腹の中だからこそ主張するべきこともある”とでも顔に書いてあるようで不機嫌度はマックスなようだ。


自分の自室で大分機嫌を損ねた事をおおげさに表現する風花に対して悠華はそれぐらいの理解度で目の前の事態を飲み込むと最低限度の「説明義務」の履行から始めることにする。


「そうですね…しかし貴女なら納得のいく情報をこのレポートから取得できたのではないですか?ミス北条。かのミストレスと魔導士の恋物語が世界を揺るがす…心躍る展開ではないですか。今回の人工神域の再稼働でどれほどの事が起こるかは長らく前線を締めてきた貴女が一番察することができるでしょう?」


とりあえず慇懃無礼バトルで立場の上下を決めようとする悠華に向けて風花は侮蔑の視線を突き刺すと、意味ありげに視線を外して外の景色を眺める。


その程度の挑発では舞台で踊る気はないとの意思表示だけを受け取った悠華は冷めてしまった紅茶に口をつけて後悔した。


そう、面倒くさがらずこの場で踊らせる算段を事前にいくつか用意しておけばこのフレーバーを十全に楽しめたな。


そして悠華は優雅に楽しめるはずだったこのティータイムの段取りを再度組みなおす事にする。


いまだに正義だとか真実だとかに隷属している目の前のご客人に娯楽の何たるかを教授してあげるために。



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