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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー清き願望が求める連帯責任ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

冴えない見通しとパートナーの不機嫌…それは世の中の「不測の事態」を招き寄せる必須要素に違いないね。


彼はそう言って長々と演説した後に空を仰いだ。


胸に詰まりっぱなしだった様々な所感を吐き出したその顔には達成感すら浮かんでいる。


そしておもむろに胸ポケットのタバコに手を伸ばそうとしてこちらの怪訝な視線に気づく。


このご時世「ちょっと一服いいかな?」が通るわけは無い。それをたった今思い出したようなその素振りは私の不機嫌を買うのに十分すぎるものだ。


さらにおずおずとこちらの機嫌を窺うその申し訳なさそうな顔には「ちょっとぐらい許せよ」と書いてあって余計苛立たしさが募ってくる。


しかしこの場でヒステリックに言葉を荒げてもこの案件がスムーズに運ぶわけでは無い。


そうまずはお互いのスタンスと役割のすり合わせからやり直さなければならないのだろう。


私はさっきまで突き刺していた剣呑な視線を和らげるともう一度今回の戦術骨子を噛んで含めるように伝え直すことにする。


彼は私の機嫌が少しでも改善したと感じ取ったようであからさまに胸をなでおろしていた…


その緩み切った頬に平手打ちが綺麗に決まったのは必然の感情が結露した結果だった。



「それで持ち帰ってきたのが例の”夜露の涙”ひとつとは…子供の使いでもまだマシな結果を出せるものよ?」


栞はつい刺々しい言葉から始めてしまったのを後悔しつつも話を進めることにする。


この黒真珠のような異質な石があしらわれた一対のピアスは今回の事態における重大なファクターのひとつらしい…件の”ルナティック・センシズ”とかいう括りの異能者が「好んでつけている」というこのアクセサリー。


その実態は異能者の欲望と願望を取り込んで「現実」に干渉する力へと変換させるデバイスになっているというのだ。


先端科学的な論理には詳しくないがこれは呪術的霊媒を必要としないにも関わらず神具レベルの力を出力できる至極危険なものだ…


そこまで考えが至った栞の脳裏に不穏な予見と確信的な危機感が走った。


「本人が意図せぬ異能の発現と暴走する意思」。


それはかつての”因果の大改編”の時に猛威を振るった後天的要因による人災の明確な予兆だ。


今すぐにでも美晴様に進言を…っ。


栞が捉えた現在進行形で進んでいる「寝た子を起こす」呼び鈴の響きは神域の最深部へと響いていく。


望まれぬ歴史の1ページが確実に紡がれ始めた瞬間のことであった。


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