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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー未然の危機と既知の宿命ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

羊水に漂うその胎児は奇跡の鼓動を刻んでいた。


まるで世界の律動は自分が調整していると主張しているかのごとくだ。


母体から供給されているのは自分を生成するための栄養だけではない…あらゆる宿命を決定づける因子も滞りなく注がれ続けている。


しかし”彼”はそのことをなんとも喜ばしい気持ちで享受していた。


そう、これから自分が支配下に置く環境そのものを創り出すその因果を無償で受け取れることに心からの感謝を感じてさえいる。


そして母体が受け入れた痛みや苦しみさえも我が身を生み出すための儀式として許容してくれたのだと思うと何の対価を差し出さない自分が申し訳なくなるほどだ。


この完璧で十全なモラトリアムから生み出された後に何を思い、何を成すべきかを考え始めるとあまりの万能感で自分の存在がどのようなものなのかわからなくなってしまうな?


そこまでを思い浮かべた後、”彼”は生命の海に浮かぶ我が身を身震いさせて生命の胎動を加速させる。


…それはまるで我が身の全能感を初めて行使する創造神さながらの行いに似ていた。



「それが”セラフィム・ビート”…我々イレイザーが持つ固有波動と酷似しているということか?」


「恐れながらその解釈はミカエル様の胸中のみに留めて頂きたく存じます。」


眼前の従者は神への背信を諌める司祭のように言葉を紡いだ。自分の伝えたことの重要性に怯えてさえいるかのようだ。


ミカエルはその確信めいた”諫言”を聞いて鋭い眼光を従者に向けるが、それでも尚彼は自らの見識を改める気配はまるで無い。


決死の覚悟で上官に意思を伝える姿勢を崩さないその様子は有り得もしない神にその身を捧げる殉教者そのものの姿だ。


ミカエルは彼のその在り様を視認すると改めて目の前の資料に目を落として事の重要性を捉えようとする。


…確かにこれまでの異常事態に酷似する前兆が現れてはいるようだが、セラフィエル消滅やバラキエル覚醒の時のような「因果の歪み」は観測されてはいないようだ。


それでは何がおかしいのか?いやおかしくない因子によってもたらされる問題があるのか…?


ミカエルはセラフィエルやバラキエルがかつて”導いた”因果をもう一度俯瞰して思考を加速させる。


その果てにどのような必然が起こりうるか想定もできないままに。



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