top of page

ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー旅立つ歌と白銀の楔ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

そう、それが君の求めていた「現実」ってやつだ。満足したかい?


今でもその言葉が何度も脳裏に共鳴していた。


あの日見ていた虹色の希望は玉虫色の無力な正義だった…私はそのことがどうしても納得できずに彼のもとへ論戦を挑みに行った。そしてその時のことは忘れることのできない絶望と挫折を私の心に刻んだのだ。


その傷跡がかつて共有できなかった理想の証となったのは必然だったのだろう。


栄光への道しるべは誰の前にも現れるわけでは無いのだから。



「だいたいこの事案はしっかりと決着してあったはずでしょう?何故今このタイミングで問い合わせが来たわけ?」


「それが…誓盟皇志会からのコネクションだということで」


目の焦点が合わない彼女の秘書はしどろもどろになりながら説明を続ける。


その惨状を静観しつつも千里はため息をついて状況を確認していく。


…よりによってその方面からの要請とは完全に油断していた。


改めて湧き上がる苦々しい感情を噛み潰して目の前の”嘆願書”を睨みつけると頭痛がより増してくる。


誓盟皇志会…表向きとしては「外に出せない機密の管理保護を担当する独立行政法人」である。


しかしその実態は「”無謬の石”関連のオーバーテクノロジーを独占による「皇国」の復活をもくろむ異能者集団」というのはその界隈の実務者たちの周知の事実だ。


それにあの黎明の女神顕現の際の機密情報流出事案。


その際の混乱と事態の収拾を行ったのが皇志会の初期メンバーなのであり、そこから始まった「借り」の清算は今でもEGO上層部の頭痛の種に違いない。


そして今回送り付けられた”お気持ち表明文書”がこちらに何を要求しているのかは誰の目にも自明なのだろう。


「どうしますか?万城目三佐…これ以上便宜を図るのは現場の運営体制に支障が出ます。万城目三佐?」


こちらに話を突如振ってきた彼女の秘書の言葉は千里の意識をすり抜けていく。


今千里の意識はこの場の判断をする為の許容量が用意されていない。


この場の空気が粘度を増して全員の思考を鈍らせていくが、誰も今発するべき言葉を探し当てることができない。


そんな中、沈黙に耐えかねた若き士官の一人が発した言葉がこの場の破滅の因子に口火をつけた。そしてそれを待っていたかのようにたちまち因果の炎は意思を持っているかの如く様々な要因を焼き焦がし始める…


千里はその言葉も事態をも静止することもできずにこれから燃え広がるに違いない不条理を思い浮かべて天を仰いだ。




最新記事

すべて表示
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー自我意識境界の観測意義ー

「ふむ、不文律や”賢い選択”に疑問を持てる程度のレベルには達したか。いいだろうその案を承認しよう。 しかし「鏡面限界」に達していることが間違いないと?しかたあるまい…プランBの手配に移れ。」 リユニは目の前で交わされた会話の意味を受け止められずに自らの師に指示を仰ぐ。 だが彼女の上長である司祭は首を横へ振って視線を切った。その一挙動が示すのは暗黙の了解に従えという事のみだ。 そしてこの聖堂内の一室

 
 
 
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー切望と待望の相容れないスタンスー

そう、それが歯車としての理想のカタチね。それとこの誓約の期限はいつまでだったかな? …しかし白々しく確認してくるその口ぶりには毛ほどの悪意も感じられない。 それどころか「この場面で配慮をしてあげてる私は慈母のごとき存在」と顔に書いてあった。 愛花はそれを渋々許容してあげることにして話の先を促した。 それを好意的受容と見て取った彼女はテンションのギアをさらに上げていく。 満面の笑顔で語られる事案の経

 
 
 
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー未踏と未知が抱える神話ー

そう、元々絶望を受け止められない程度の器が夢や理想の重みに耐える事なんてできない。必然だと思わない? それとも様々な倫理や良識を犠牲にして専用の器を造る…?このひとつの禁呪のためだけに。 別に私は構わないけど、貴女にはそれなりの対価を支払ってもらうことになるわね。 必死に笑いをこらえて思わず吹き出しそうになっている彼女の顔は赤子の笑顔より無垢なものに感じられる。その様はまるで「ちゃんと言葉が喋れる

 
 
 

コメント


Copyright © Aquarian Age Fan Project All rights Reserved.

bottom of page