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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー恣意的意図と示すべき敬意ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

だからこのポイントは履修しておけと言ったでしょう?


…今更ながら脳裏に彼女の不遜な笑顔が再生されてテンションはガタ落ちだ。


目の前の事態を受容できない私の思考は脳内が焼き切れんばかりの自問自答ループを繰り返している。


まとまらない今までの回想だけが意識を焦がしていた。


一体何が足りなかったというのか?


精一杯の無茶を通してようやく組みあがった儀式場は自重にすら耐え切れずに構造体を瓦解させてきている。


完璧だったはずのプランニング。それを思い出しながら自らの「理想像」を探してみようとして愕然となった。


あれだけ昼夜問わず思い描いていた完成像がいまやどこにも見当たらない。


度重なる現実の重さで歪んでしまったのか、具現化できる強度が無く霧散してしまったのか…今となってはわからない…回答してくれる者も存在してくれない。ただ目の前の惨状だけが存在を主張し続けるばかりだ。


そして華やかな未来の礎となる予定だったこの舞台は冥府の扉のごとき不穏な空気を吐き出し続けている。


扉の奥からは聞こえるはずのない呼び声が響きだす。もうこの場の結末は確定してしまったのだろう。


それでも踏みとどまる事はできたのかもしれない。今引き返せば最低限の自尊心は保てるはず。


…しかし疲弊しきった私に「現実」と抗う術や余力は残されてはいなかったのだ。




「応答しなさい榊原一曹…榊原一曹ッ?」


恵は緊急回線からの悲鳴に近い声を意識から切り離して再度息を潜める。


今までの経験則から想定できない程の前線の混迷具合は酷いものだった。


これほどまでに「神の私見」があらゆる場に台頭し「シャングリラ・プロセス」は度重なる暴走で期待されていた機能を喪失している。


もはやこれまでの”正義”と”正着”の存在意義は限りなくゼロに等しくなっているのだ。


それに加えて彼女の異能による現場の指令機能の喪失…想定以上の混沌は各地の統制を乱すだけに留まるものでは無い。


日常ルーチンの土台が破壊されたとき真っ先に失われるのは理性と平常心。


そしてそれによって支えられてきた平和という名の幻想そのものであり現実というセーフティフィールドだ。


誰もが「事実」が剥き出しの世界を生きていけるほど強くは無い。自らの論理武装だけで乗り越えていけるほど自然の摂理は甘くも優しくもないのだ。


そこまでを脳裏で整理したうえで恵はこれから津波のごとく押し寄せてくるだろう理不尽に対応する為に自我意識の非常ルーチンに火を入れる。


これから起こるに違い無い「超自然的人災」への対処を恵自身が覚悟した瞬間であった。


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