ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー必然と自然の無理解な主張ー
- 5 日前
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そこには誇張された事実も拡大解釈された現実もなくただ涼やかな日常があった。
その日々に込められた熱量は関わる者たちの理想像を無尽蔵に具現化させていき、数多の英雄や伝説の始まりを歴史に刻んでいくものとして運用されるに至る。
その様々な「成功例」は次第に唯一無二の神話へと認識を変えて因果の始まりを統制していった。
誰もがその”神域”への道のりを駆け上って自らの願望や夢想を現実のものとしていったのだ。
そしていつしか”神域”への道のりは有志の者たちによって管理され門番は「成功者」達が選別した「有資格者」が務めるようになっていく。
やがて皆に平等に開かれたはずの理想郷への道は「成功者」への偶像崇拝者たちによって閉ざされる。
そして神々となった神話の紡ぎ手はそれを認可し自分たちを崇める者による国家を創って”神域”を現世から隔離することにした…「正義の定義」を自らの裁量で決めてしまったのである。
正に「救済の道」を絶たれた人々にとっては傲慢不遜そのものの行為にしか思えなかったのだろう。
誰もが尋常ならざる熱量を持って神々に立ち向かおうとした。
…皮肉にも”神域”が聖なる清浄の地と認知される因果の始まりが歴史の1ページに刻まれた日の事だった。
「それでその一帯には”未成熟な女性”であり”能力者としての処女性”を持った人間しか入ることのできない結界が張られていると。それはまた手の込んだセクハラね…あなたの能力でピンポイントに隕石でも落とせないもの?星野さん。」
「ええと、それはどういう意味でしょうか。」
飛鳥は目の前の上長に笑いどころのわからないジョークを振られて困惑する。
先ほどまで”救済の炎”とか”聖典”とかいう言葉で綴られていた話の途中で挟まれた場違いにも程がある冗談で笑えるほど不謹慎なノリは持ち合わせていない。
そもそも物理的な突破は不可能という前提を語ったのはその口だったではないか?
意識の中に処理しきれない感情が渦巻くのだが話の腰を折ると徹夜で与太話を聞かされる事になりそうだ。
飛鳥は首をもたげてくる不信感と不快感を何とか飲み込んで先を促してみることにする。
「しかし”神域”とされる場所を護っているのはあの藤御堂のお嬢様なのですよね?そこには風花…いや北条一尉が出向いているはずでは?」
「星野さん…それが問題だったのよね。そのことで藤御堂のお爺様が大層お怒りで斎木の本家に直接乗り込んだって話なのよ。それで」
飛鳥はそれ以上の情報取得を打ち切って天を仰いだ。
上層部に直接圧力をかけられるご意見番と御前がこのタイミングで衝突…内紛なりクーデターなりが現実味を帯びる最悪の展開だ。
それにこの事態では例の彼女の私設護衛部隊である「セイス・ブレイズ」も出張ってくるだろう。
彼女達は大規模部隊に能力ブーストをかけられる能力者の集まりである。
その事実が現場と最前線にどれほどの大惨事を引き起こすかは火を見るより明らかだ。
「星野さん貴女はわかっているわよね?この話を今聞かされているのがどういう意味かを。」
目の前の上長が”自分は役目と責任を果たし終わった”という顔で言葉を切っている。
飛鳥は絶望と失望の色を目ににじませながらも首肯する以外のアクションを取れずにいた。

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