ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー完璧と完全の間の埋まらない溝ー
- 5 日前
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おお…これこそが”サンテベール・ファイア”。「使徒」全ての血と魂の構成物を供物に捧げることで世界の穢れを焼き尽くすという贖罪の炎なのか?
禍々しい光を放ち、この場だけでは無くまさしくこの世界全ての運命を決めようとする意志が聖堂一帯に満ちている。それは新たな「聖典」の1ページが彩られることを意味していた。
そしてそれが歴史的に何を意味するのかは誰もが知ることになるのだろう…それに付随するものが破滅であるかどうかは関係ないことだ。
朗々たる声で講釈を続け、陶酔の極みに達している彼女をただ見つめるしかないディーナは身動き一つできない。そもそもこの場に引き寄せられた時点でディーナの自由意思は封じられている。
では彼女は私に何を見せようとしているのだろうか?自分が創世神にでもなるのを見届けようとでもしているのだろうか。
脈動を続けるこの場の「意識」は正に今この瞬間、自らが生まれるための器の形を模索している。
仰ぎ見られるほどの神々しさを持つべきかそれとも畏怖を集めるほどの異形の姿であるべきかを選ぼうとしているのだ。
そしてこれから生れ落ちたものが救いの神であるのか破壊を司る神であるかは「産みの親」たる彼女が決めるのだろう。そして自我意識の元型となった彼女は始祖神官として新世界の理を紡ぐのだ。
無論彼女の意にそぐわなかった旧世界がどうなるかは考えずともわかること…故に眼前の生誕術式の成就を止めなければならない。
ディーナは縛られた我が身の権利を取り戻すために自身の魔力を練り上げ、かの「聖域」で授かった禁呪を行使しようと意識を集中する。
その呼びかけにディーナの魂の形が呼応して不死鳥のごとき流麗な魔獣が現れる…その姿もまたこの世の摂理を超えた存在であるのは確かだ。
その様子を驚きもせず静かに見つめていた彼女はそっと微笑んで魔獣の顕現の祝福を示す。
彼女とディーナの対峙は神話の序章として語り継がれるだろうことが確定した瞬間だった。
「それでわざわざテンパランスのアルカナを司る貴女がご足労頂いたというわけですか…しかし神話創世並みの案件となれば評議会の方も黙っていないでしょう。それにアルカナメンバーは当然招集がかかっている筈。私に何ができるというのです?」
「東方賢者メルキオール殿。私はそのような韜晦と謙遜を聞きに来たのではありません。かの四元の王からも神域から伝わる呪具を開放するようにとの通達があった事はこちらも掴んでいます。無論「公用地」がらみの案件を片付けている最中だという事も含めて、ね?」
エイミーはメルキオールの仕掛けた舞台に乗ることはせずに手札を切り始める。
そう、目の前の彼女は「神域」級の存在に対する手段として数々の搦め手を用意していることは周知の事実。まずはそのステージに立つ資格が自分にもあることを示さねばなるまい。
「さらに言えば”真理の扉”の管理者が近々現世に干渉してくる、という情報も魔術文化圏に広まっているのです。これは新しい魔術概念を纏める為に貴女が広めた噂ですよね。」
もはや疑問形ですら無いエイミーの言葉に対してやれやれといった表情を隠しもしないメルキオールはやっと観念して自分の手札の一枚を見せる事を決める。
そしてその一枚を目の当たりにしたエイミーはこの世界の秩序の意味を改めて考える事になった。

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