ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー存在するがゆえのリスク、立ち去ることによるメリットー
- 3月23日
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人間社会のルールに従えないなら獣として駆除されるのも当然…そうよね?
「事情聴取」を終えた彼女はそれだけを告げると私に対しての興味を失った。
今まで積み重ねてきた私の”物語”はその瞬間に現実性を剥奪されたのだ。
この場において私の意識の中を走馬灯が悠長に走り抜けていく。
初めて賛同を得られた際の夢心地の気持ち良さ。
あまりにも苦い現実と組み合って解決策を求めていた長い夜。
そしてそれらを組み伏せて承認を勝ち取った日の達成感…全てがただの過去の思い出となり霧散していく。
いずれは私たちに保証されていた権限や市民権も取り上げられて無力な日々に打ちのめされることになる。
それが「厳しい現実」だからしょうがないのか?
いや、受け止められるはずもない。
この儀式場の魔術構築は私たちが文字通り身命を賭して作り上げたもの。
私たちの持つ独自の儀式術と生体魔力をもってしか保守していけないシステムになっている。
それはお目付け役の彼女が一番理解しているはず。
…それならどうして彼女はこの場で私たちを切り捨てようとしているのか。
理解できないこの場の状況が私の意識を混濁させている。
それでも伝えるべきことを言葉にしようとするが私の口は言葉を紡げない。
遠ざかっていく彼女の背中…私の手が届く距離から離れた可能性の扉は音を立ててその口を閉じた。
「フィッツヴァルド様…いくら何でもこの度の決議は無理を通しすぎたのでは?」
「…。」
エレーヌは副官の言葉をあっさりと聞き流して手元の書類に目を通している。
「正識の門」を構成する五つの柱のうちの”論理の柱”。
その管理官であるエレーヌは「門」の入り口の管理者が消失するという今回の異常事態に対しての対処として”柱の保守構成員を意志持たぬ魔術構成物にする”という手段を取った。
今回の侵入者は精神感応をもって管理者を陥れた、という報告を受けてのことだ。
あまりにも「合理的」な手段で防衛策を講じたエレーヌは着々とこれからの迎撃策を考えていく。
敵が異能者であろうと魔術師であろうと魔物であろうとかまわない。
私は粛々と敵を制圧するのみ…そこに驕りも躊躇もない。
そして私が管理している封鍵、「白夜の書」の力は”あらゆる理外の力を管理下に置く”というものだ。
私の前では闇夜の中でのルールは意味を成さない。
全ての敵は論理の光の中で無力となり私に平伏するのだ。
エレーヌはあまりにも明確な害意をもってこれからのヴィジョンを組み立てていく。
同じ空間で同じ空気を吸っていた副官の青年はこの冷え切った刺々しい毒気に抗う為だけに全生命力を使うこととなった。

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