ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー受注と進捗具合の奇妙な縁ー
- 5 日前
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…今更そのモラトリアムが必要だという必然があるのかな?
断続的に続いていた論議の最後、どうにか受け止められた最後の言葉。
それの意味するところを自認してしまえば今までのような無邪気な夢想を語ることはできなくなるだろう。
そして「現実」という言葉は敷いてもらったレールを歩く為のオールマイティパスではなくなる。
それどころかこれからその言葉は”「不可能」の代名詞”として永らく付き合う金剛石製の枷となるのだ。
愛花は脳裏に駆け巡ったそれらの思考をとりあえず追い出して対峙している彼女の目をにらみ返す。
いや、大丈夫だ。この通過儀礼は彼女も通った道の筈…第二の覚醒を終えた自分ならより簡単に乗り越えて見せる。
例えこれが青少年期特有の万能感と根拠無き自信に拠るものだとしても構わない…それすら自分の力を育む養分として先へ進めさせてもらおう。
早速意識内を侵食してこようとした「現実」に対して”自らが戦える力”を誇示し、愛花は意思の主導権をがっちり握っておく。毎度自分と戦っている必要があるようでは戦力としての頭数には入れまい。
そしてそれはただの戦力外通告を意味しない。あいつにとっての登場人物としての資格も無いという事にも繋がる。
それは私の世界のほぼ全てを無価値と断ぜられる事と同義…無論許容などできない。
私は私のままであいつの隣に立つ必要があるのだ。
…愛花は理論武装を十分に仕上げた後、この場の主に向き直り「資格試験」続行の意思を示す。
その様子を眺めていた今日香はいかにも愉快そうで興味が尽きないといった表情で「満足感」を示している。
ふむ、千里さんから聞いたところによるともっと論理をすっ飛ばしてくるタイプだということだったけど…わりかし理性的な論理展開もできるのかな?
まあそれならそれで話が早い。手っ取り早く扉を開けてもらうか。
今日香はおもむろに右手の水色のシュシュを外して異能のリミッターを解除する。
その刹那、周囲一帯に光の奔流が駆け抜けて現世の理が吹き飛び隔絶された空間が具現化した…
愛花はその既視感のある非現実の来襲を知覚すると同時に自らの帰る場所への帰還を他でもない彼へと誓った。
「勅使河原先生、この気配…」
「相楽さん貴女も感じたのね。そうよ彼女なりの”面接”。いくら「石」の被験者だとしても特別扱いは無しってことね。」
香津貴と瑛子はこの日が近々来ることを予定して段取りを済ませてはいたが、あまりのやる気満々な異能の迸りに少々懸念を感じてはいた。
「渡来さんが初めてEGOの事情に首を突っ込んだ日を思い出しますね。あの時は万城目さんと鯨井教授がとりなしたんでしたっけ?」
「そうね…あの時はだいぶ大騒ぎになって困ったものだったのよ。もちろん現場にいた貴女ほどではないのだけれど?」
瑛子の記憶のアルバムには余程の美しい思い出として残っているらしい事を察した香津貴はかつての心労がフラッシュバックして意識が飛びそうになった。
その様子を微笑ましくみていた瑛子はこの先起こるであろう運命の分岐点を想定して現状の「カリキュラム」の修正を始めることにした。

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