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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー主権を持つ者の孤独と”現実感”ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

此度の御身のご生誕真に喜ばしく存じます主様。


…過剰なほど臣下の礼を強調した男はどれほど自分の祝意が大きなものであるかを余程主張したいようで痛々しい。


それでも傍に侍る彼の側近達は確信を実感していた。


これで我らの教義だけが「現実」として世を統べることができる、そして我らの示す「希望」だけがこの世の絶望を照らす光となるのだと。


正に創造神の寵愛を受けられることが確定したかのような歓喜は彼らの胸中を余すことなく満たしていく。


自尊心のオーバーフローはこれから描かれるに違いない金色の未来像を彼らに幻視させるに充分な熱量を与えている。


側近たちの今にも暴走しそうな熱気を受けて男は粛々と己が主人との契約の儀を進めていく。


それは意思決定権の「譲渡」に始まりこれからの展望を描く主導権の無条件承認を経て教義の独自編纂を一任するに至る。


そして一連の儀式が受諾されて男は恭しく白金の蓮の花と王冠があしらわれた徽章を差し出した。


その時の男の表情は恍惚をも通り越した喜びと達成感に満たされていた…自らをも導いてくれるだろう眼前の存在に今までの自分の蓄積を捧げられる喜びを噛み締めているのだ。


過剰なほどの従者然とした男の所作に応じて召喚された彼女との初めての意思疎通が始まっていく。


男の脳裏に荘厳にして涼やかな声が響いた。


”我は我が望む形の秩序をもたらす…それで良いな?”


直接意識に突き付けられたその言葉。


男はそれを自分の為だけの宝物のように大事に受け止め、従順で無垢な笑顔で了承の意を示した。



「それでその場に発生した生と死のパラダイムシフトこそが「物語」を始める鍵ということでいいのね?」


「”女教皇”ウァレンティヌス様…それについてはまだ確証が取れていない話ですのでここだけの話ということでお願いできますか。」


この場の空気がざわめいて聴衆の心中に疑念が広がっていく。ポーラは従者の言葉にどれほどの意図が込められているかを測りかね、眉をひそめた。


議場に持ってこれるほど検討が進んだからこそ今回の議題にこの案件が出されたのではないのか?


ただでさえこの円卓会議の存在意義が形骸化しつつある今、極東の「人工神域」の件はこの魔術文化圏の日常の土台を崩しかねない「現実」を生み出す非常に危険なものだ。


この件を導知評議会の管轄で片付けられたりなどしたら今後ほぼ全ての魔術関連案件はカバラのセフィラ達によって先導されることになることは明白だ。


それは未来のヴィジョンだけでなくこれからの宿命を決める権利を掌握されることに他ならない。


そして「合議制の元の公正」の名の元に独断専行が全てにおいて幅を利かせる事態になることに違いない。


ポーラの脳裏に絶望的観測による現実像が描かれる。これまでの希望は炎天下の影法師のごとく存在意義を無くしていくのだろう…それでも。


ポーラは右手の錫杖に込められた先代達の思いを噛み締め、この案件に対しての提案を話し始める。


その澄んだ瞳に映るものはもう観念的理想像ではなかった


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