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ギャラクシー”ジェネシス・コード”ー”現在”が起こす揺らぎ、”現代”に起こるざわめきー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

そう、これだけが黎明の兆しにしてこの先の栄華に繋がる道。その象徴である「紅玉の瞳の帝国剣士」を生み出す基盤となる術式なのですよ?雷蹄皇陛下。


この場の重圧をなんとも思っていないばかりか話の駆け引きすら楽しむ余裕を見せた眉目秀麗なその青年。


その背後には奇妙な気配を漂わせた槍兵が剣呑な表情でこちらを見据えている。


アルヴィナはまずこの状況に至った要因を脳裏に走らせて腑に落ちない要素を確認する。


様々な約定に基づいて保たれていたこの均衡、不可侵を交し合って停滞を維持していたこの「世界」。


それを「ひとつ」に纏めてより大きな器を造る…そしてもう一つの「世界」をも手にしよう?


理解が及ばない…そもそもの前提が違っている。現在の器でもう満ち足りているはずの現状を組み替えることにどれだけの意味があるというのか?


アルヴィナはその青年のあまりにも優雅な佇まいに飲まれている自身の自我にもう一度語り掛ける。


ただの思い上がった士官願いの輩ならすぐさま消し炭にしてやったところだ。それに私の名前で何かを成そうという野心家であるなら子飼いにして遊ぼうという心つもりでもあった。


だが、目の前のこの男は同じ視線どころかこの「世界」を分割統治している領主の一人である私の意識より上からの視点で話をしているように感じる。


どこの地域の神話にも属さぬ神気取りのうつけ者…?いや一定の格以下の魔術や呪術および自由意志が封じられたこの玉座の間に踏み込んできた時点でただの愚か者でない事は確かだろうが…


思考がどこまでも堂々巡りを始める。そしてアルヴィナの心身が無意識に警戒態勢に入った。


玉座の間に紫電が走り始め青年と槍兵がいる場所に豪雨のごとく雷の柱が降り注ぐ。


「雷雨」が玉座の間を蹂躙しつくした後に残ったのは哀れな二体の骸…では無かった。


だがそのことに疑問に思うことなく、破壊の限りを尽くされた大理石の残骸を見てアルヴィナは我に返り臣下を呼んで後始末を命じようとしたその時。


不自然にその場に残された一枚の封書がアルヴィナの意識を沸騰させることになった。



「…”貴女が一人の女性としての幸せを得られますように。 敬愛なる雷蹄皇陛下へ 愛を込めてマクシミリアン・レムリアース・ベアリスより”、か。歴史書に残ったぐらいだから余程の衝撃だったんだろうね。主に周囲が。」


「まさに信じられないね…マインドブレイカーという存在は歴史を揺るがすのが仕事なのかもしれないわね。」


まるで他人事のように検討を進める美奈と新名であったが、小学校の絵日記レベルのレポートを出すわけには行かない。この大聖堂書庫があるヨーロッパまでのプライベートジェットの運用費と拠点稼働代は「成功報酬」なのである…もしこの報告書が使えないとなればそれこそ世界中の鉄火場に放り込まれる事になるだろう。優雅なティータイムの中スイーツでゆったり、とかが年単位で剥奪されるのは避けたい。


まるで危機感のレベルが足りない二人であったが、「歴史書」に書いてある”事実”に引き込まれるのはこれからだということもまた理解の及ばぬところであった。



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