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ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー隆盛の意味と破滅の意義ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 4分

流れる風が追憶の景色を押し流していく。


それは今を生きている日常の当然な在り様なのだろう。


かつて思い描いた壮大な夢も仲間と誓い合った尊き理想も今は色褪せてアルバムの中で思い出となっている。


それを思い起こすたびに考えることがある。


もしもあの時勇気ある決断で一歩踏み出せていたらかつての理想に届いたのではないか?


何故あの頃の自分は抱いた誓いに殉ずることができなかったのか?


未熟な自分にはできるはずがないということだけが現実ではなかったのではないか。


様々な後悔が私の中を駆け巡っていた。


それでも何とかその思いと折り合いをつけてやってきて、現実に適応していたのだ。


そう彼がやってくるまでは、だ。


最初は単なる補欠の補充要因の一人でしかなかった彼は私たちの教えを貪欲に吸収し続け、見る見るうちに現場の現実を塗り替えていった。


疲労した制度の実用的な組み換えに始まり業務の根本的問題の解消ロジックの策定にいたるまで。


気づけば彼は現場の精神的支柱となり現実打破の象徴となっていた。


彼の組んだ理想像は次々と具現化してあらゆる不都合要因は彼にひれ伏していった。


誰もが彼の勤勉さと誠実さに感心しその人柄をも愛していた。


そしてその革命的業務改善が噂となり支援者が集まって私たちの未来を共に創り出そうという話が持ち上がった。


その話を聞き現場の誰もがまだ見ぬ素晴らしい未来を確信して祝杯を挙げた…


その話が彼の尊厳と未来の可能性と引き換えだと知らぬままに。



「七星神器”アリオト”様。私どもの提案では納得いただけない理由を今一度伺ってもよろしいですか?度重なる不穏な探り合いをするのは本意ではありませんので。」


「ふふ…お言葉だがその信頼関係を疑い始めたのはあなた方ではないのかな?ミス北条。」


風花とアリオトの盤面交渉は明らかに難航を示している。


「アスクレピオス」とのリソース提携計画は今の現場維持になくてはならないモノであるため多角的な方面で交渉をしていかなくてはならない。


それでなくてもイレイザーの前線指揮官である「七星神器」の面々の胸先三寸で全面戦闘になる可能性は決して低くはない。


それは各方面で命を削りながら交渉している仲間たちや関係者たちの努力が水泡に帰すだけに留まらない。


現状の平和と日常の意味が塗り替わることの意義の重要性はこの場にいる誰もが承知していることだ。


それでも切れる手札が限られている以上、相手の要望をすべて飲むわけにはいかない。


それは関係者全員の尊厳を譲り渡すことと同義だからだ。


風花は自らの「敗北条件」を改めて確認すると深呼吸を一度して目の前の交渉相手にもう一度向き直る。


EGO外交特務部京都支部、その貴賓室内の空気がさらに重くなっていた。


風花はイレイザーの前線指揮官とはとても思えぬあどけない少女の姿をした一個体に対して改めて意思疎通の意思を確認する。


「私どもの情報ネットワークによる”現状分析”が気に障ったのでしたらその無礼をお詫びします。しかしこちらとしても用意できるものが何なのかは把握しておく必要があります。その点は理解していただけると思っていますが…どうでしょうか。」


風花は慇懃無礼スレスレの言葉でスタンスを奏上する。


さすがに土下座外交をできるような状況では無いのである。


アリオトは風花の練った戦術を俯瞰して興味深く租借した後、ひとつの提案を俎上に上げた。


この場の誰もが言葉を失い、風花の護衛役のSP達からあからさまな殺気が放たれる。


風花は未だにこやかに対話するつもりのアリオトに向け敵対意思の確認をする。


その涼やかながら煮えたぎった視線を受けてアリオトは我が意を得たりと満面の笑顔で応える…


風花はもはや戻れないかもしれない日常への未練を一旦胸にしまい込み、戦闘態勢へと移行した。



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