ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー認知と受容、永遠たる旅路ー
- 5 日前
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この大河の流れが行き着く先…そう因果の果ての景色。興味は無いのかな?
空の彼方を思わせるように透明な彼女の瞳に射すくめられて私は呆然と立ちつくした。
源流から湧き出した可能性の奔流はもはや自分達でコントロールできないところまで来ている。
しかし彼女はその結末を全て観測してきたかのような、受容してきたかのような色の瞳で私に語りかけている。
おそらく彼女が求めているのは自分の視座の共有に違いないだろう。
そして悠久の時の中で生きていることを実感したいのだ。
だがそれがかなわないのは説明しなくとも充分わかっている筈だ…ただの人間である私の自我の器に悠久の時を受容できるわけもない。
それでも彼女が私に手を差し出す理由は何だろう?この場での私の役目は何なのか?
…わかりきっている。だがそれを認めたくないだけだ。
その一瞬の逡巡の後、私は彼女の問いに明確な意思を示した。
それを嬉しそうに受け取った彼女の満面の笑顔。
旅の道連れのシナリオがこの瞬間確定したことを自覚する間もなく私達の物語は始まった。
「天衣無縫の恐ろしさは"奇跡の日常化"にあるの。そう"普通"の価値が容易く歪んでしまうのよ。」
「はい…?」
ローズマリーは唐突な語り出しに対してぼやけた反応を返すしかなかった。
今回のロイヤルフラワーズの定例会は終始こんな感じである。
真意を図りかねる抽象概念論、現世の理にそぐわぬ理想通念、すり合わせの済んでいない中で出される合意稟議。
全てが異質でありながらあって当然という顔でこの場に存在している違和感が列席する全員の意識を圧迫している。
その中で朗々と話し続ける彼女に対してローズマリーはたまらずその演説を遮った。
「プリンセス•アカシア、ミレーユ様…私達には今貴女が話している要諦が何も分からずに途方に暮れています。何とぞ基本骨子からの説明をお願い頂けませんか?」
ローズマリーはこの場の面々にあからさまなアイコンタクトをしてみせて同意を求める。
…ようやく自分の存在を意識に入れてもらった面々はローズマリーにすがるように意志表示をする。
ミレーユはその様子を見て渋々ではあるが話をやり直す事にする。
「そうね…まずは私達にのみ管轄権が認められている禁忌の果樹園の件についてからやり直しましょう。それでいいでしょう?フォンブリューヌ。」
ミレーユは余りにも気怠げな目でローズマリーを一瞥して話を再開する為の意志確認をしていく。
そして物言いたげなローズマリーの瞳から視線を意図的に外したミレーユは淡々と事実の陳列から始め
た。
「まず喫緊の課題である"夜露の涙"の流通が極東に偏っている事、それに伴い果樹園の生産力が疲弊している事、それによりもたらされるパワーバランスの崩壊の懸念。"涙"による共振現象の弊害。まずこれらから手早く対処していかなければならないわ。異論はありませんね?」
ミレーユは最低限の事実確認をすると本題に戻り、現時点での腹案の説明に入った。
ローズマリーは粛々と進められていくこれからの宿命のシナリオをただ追認するしかない現状に苛立ちながらも目の前の現実を組み伏せる事に集中する事にした。

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