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ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー粗雑なリアルと完璧なリアリティー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

この景色こそあなたと彼らが望んだ永遠のかたち…そうでしょう?


彼女はワイングラスの中の煉瓦色に染まった美酒に語りかけた。


ついに手に入れた眼下の雄大な世界は数々の理想や願望を代償に造り上げた私の理想像そのものだ。


だがすでに失われた彼らの平穏な日々はもう決して戻らないものであって、誰もがそれを自認している。


だからこそ語り継がれたその日常の記憶は唯一無二な価値を持って”いた”のだ。


彼女の脳裏に追憶と記憶が蘇る。


「失われたあの日の日常、その記憶のカタチが誰でも触れられるものになったとしたら?」


…あり得ないその仮定を可能にするのは神代の時代の創世魔法ぐらいのものだろうよ。


実際にかつての日常を過ごした者たちは皆悲しそうに彼女に不変の「現実」を説いて今の生活へ戻っていった。


そんな悲痛な後ろ姿を永らく見てきた彼女は失われた「聖典」の原本を追い求めることにする。


そうかつての日々の日常風景が刻まれた緋色の景色。


その中には失われた世界そのものを具現化させうる魔法すらあるのではないのか。


無数の夢や願望に実体を与えたといわれる「聖典」の映した情景こそが今私が求めるべきものではないのか。


その結論に至りあらゆる手管を用いて到達したこの領域、そしてついに一部とはいえ具現化されたあの日の日常が目の前に息づいている。


溢れかえる到達感に彼女の脳髄を快楽物質が駆け巡る。


そして代償となった命で満たされたグラスの中の永遠を飲み干した彼女は押し寄せる恍惚感を愛おしく受け止めた後、次の理想像を描き始めた。


かつて失われた自らの情動と感情を紡ぎ直していくかのように。




「…梅本本家としてのこれからの方針は以上ですね。お嬢様」


「その人の気持ちに全く配慮の感じられない通達文でほんとに何か伝わるとでも思ってるの?本気で?」


凛花は毎度の投げっぱなし通達を指摘するのもかったるいという感じで最低限の所感を伝えた。


桜梅桃橘の執行役は常人には背負えない事案や稟議を処理できる器や能力を持たなければならない。


それはわかっている。


しかしそうは言ってもある程度の”人間同士のコミュニケーション”が必要なはずだ。


凛花はもはや抱えきれない不満を抱えきれずにそのまま愚痴を並べ立てようかと思ったが、その程度でこの専属執事の感情を揺らすことは不可能だと理解している。


そうどんな論理武装でもっともらしい議論を仕掛けてもその手の手練れに勝ることはできない。


わかってはいてもその事実がもたらす不条理は変わらない…時間と労力と感情リソースの無駄である。


持ち前の論理でなんとか自分の感情をなだめた凛花は改めて報告の内情を咀嚼することにする。


えーっと、”「ファミリア写本」が生み出した弊害は社会インフラの維持と秩序の破綻を誘発するレベルに到達している。速やかに疑似超越者達の拠点を制圧し、管理下で統制可能な環境を構築せよ”だっけか。


なんというかまるで神頼み以下の指示で頭が痛い。


日本語を難しく言うことでわかった気になっている豚野郎が考えた文章だな…


凛花は口に出すにはあまりにも体裁が悪い所感を飲み込むととりあえずこれからの日程に休養日をみっちり組み込むことにした。


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