top of page

ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー祝福の律動、摂理の蛮行ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

それは婚姻という名の契約義務を求めるという事だね…違うかい?


こちらからの意志表示に対して彼女は改めての確認をする。


そう、これはこれから共に歩んでいくに際しての認識の擦り合わせ以上の意味を持っている事は明らかだ。


自分が望む幸せの形、彼と歩んでいくこれからの日々を夢想していく為のリソースとそれらを実現可能にする実用的理想論。どれもが私の望むこれからの日常を成り立たせるための必須要因である。


もちろんそれだけで「私の理想の日常」が成り立つならば苦労はしないだろう。


…しかしこちら側にも勝算が見込めるファクターは当然持ち合わせている。


”現実”という概念そのものをねじ伏せることのできる私の特殊技能と固有異能。


その二つを組み合わせて成すことのできる特殊領域の中では”現実”という言葉は不可能と不条理の代名詞ではなくなる。


そしてその意味を知った者は「”私達”の世界」の従順たる僕となるのだ。


彼女はそこまでを確認した後、自らの愛する伴侶へ愛の言葉と誓いの印を捧げる。


それと共鳴するように彼女たちが受容するにふさわしい「優しいセカイ」の胎動が周囲にこだまし始めた…


自然の摂理の一部が彼女に対し忠誠を誓った、まさにその瞬間であった。




「それでその場で観測されたのが「”現実”を「嘘」にする異能」?まるで理解が追い付かないのだけれど、最初から解説してくれると嬉しいわ。風花…」


手に取った報告書を斜め読みする気力すら失せた新名はとりあえずその紙束をテーブルに投げ出して虚ろな瞳を風花に向ける。その姿には今回の問題を飲み込む意欲も理解する努力も投げだした無気力さが満たされていた。


しかしそれでも現地の問題ごとの責任者としての責務は新名の肩にのしかかったままだ。


もし自分が逃げ出したならその重圧と向かい合うのは絶望と不信感を飲み込むこととなるあの新任補佐官の彼女…正義と信頼関係を未だ無垢に信じているあの子にこのヘドロにも等しい事実は抱えきれないだろう。


新名は今自分が現時点で背負っている信用と責務を確認して意識をこの部屋に戻す。


その様子を見計らって風花は現状認識の為の情報を話し出した。


「そうね現状わかる事としては彼女が「”現実”と認識した事を「嘘」にする」という概念変化系の能力者であるということ、どれだけの規模の事象改変ができるかは未知数であること、彼女の二つ名が”フェイクヴィジョン・ブレイズ”ということ。まずこれだけでいいから押さえておいて。それから」


…新名はほぼ聞き流している風花の解説の中に明らかな異物が混じった事を認めなければならなかった。


藤御堂家私設護衛部隊の中でもより警戒度の高い能力者部隊の一員を指し示す「ブレイズ」の二つ名。


概念変化系及び事象改変を可能とする能力者相手には必ず異能封じを帯同させる必要があること。


その場の対処に手落ちがあればどれほどの人数の未来と日常が失われるかわからないこと。


これらの対応必須事案が新名の脳裏に駆け巡り、最悪の想定が目の前に映し出される。


そして新名の瞳に緋色の光が灯って執務室の空気が見る見るうちに重さをましていく…それはいくつもの希望と未来を背負って戦場を駆け抜けた戦士の在りようそのままだ。


風花はその火花が散るほどひりつきだしたこの場において示すべき覚悟を改めて見せる必要性を認識し、情報共有システムの構築を再開した。



最新記事

すべて表示
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー自我意識境界の観測意義ー

「ふむ、不文律や”賢い選択”に疑問を持てる程度のレベルには達したか。いいだろうその案を承認しよう。 しかし「鏡面限界」に達していることが間違いないと?しかたあるまい…プランBの手配に移れ。」 リユニは目の前で交わされた会話の意味を受け止められずに自らの師に指示を仰ぐ。 だが彼女の上長である司祭は首を横へ振って視線を切った。その一挙動が示すのは暗黙の了解に従えという事のみだ。 そしてこの聖堂内の一室

 
 
 
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー切望と待望の相容れないスタンスー

そう、それが歯車としての理想のカタチね。それとこの誓約の期限はいつまでだったかな? …しかし白々しく確認してくるその口ぶりには毛ほどの悪意も感じられない。 それどころか「この場面で配慮をしてあげてる私は慈母のごとき存在」と顔に書いてあった。 愛花はそれを渋々許容してあげることにして話の先を促した。 それを好意的受容と見て取った彼女はテンションのギアをさらに上げていく。 満面の笑顔で語られる事案の経

 
 
 
ギャラクシー”フォールンマテリアル”ー未踏と未知が抱える神話ー

そう、元々絶望を受け止められない程度の器が夢や理想の重みに耐える事なんてできない。必然だと思わない? それとも様々な倫理や良識を犠牲にして専用の器を造る…?このひとつの禁呪のためだけに。 別に私は構わないけど、貴女にはそれなりの対価を支払ってもらうことになるわね。 必死に笑いをこらえて思わず吹き出しそうになっている彼女の顔は赤子の笑顔より無垢なものに感じられる。その様はまるで「ちゃんと言葉が喋れる

 
 
 

コメント


Copyright © Aquarian Age Fan Project All rights Reserved.

bottom of page