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ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー真理の役目と事実の価値についてー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

様々な想いのさざなみが私の心を揺らしていた。


受け継いだ魂と紛いモノの身体…それだけが私を構成する唯一無二のモノである。


しかし私の血に染まった様々な物達は自らを私の一部としての未来を描く事を求める。


あらゆる孤独、悲嘆、激情が私の中に渦巻いて私の自我を侵食していった。


許容できない程の感情の濁流が私の持つ価値観や情緒を洗い流していく。


それは自己主張などという生温いものではない人間性の略奪と同義であった。


そして私の意識と判断力を我が物とした感情の暴風雨はまた新たな力と権限を求めて彷徨うことを選択する。


隷属された私の力は新たな主に運命を決定づける権限を譲り渡した…


その支配者としての能力により全ての因果を再定義する儀式が執り行われることが確定した日のことだった。



「その報告のあった日時から霊的災害の規模が広域化しているのは確認しているわ。それで公主さまの自我がないことは確定でいいわけね?」


美智流は事実だけを確認するべく傍らの副官に問いかける。


稀代の超越者のひとりでありこれからの古典呪術界の盟主とも認識されている次代の”月光妃”、「朱月公主」。


その異能は「自らの血液を媒介にして万事の因果を支配下に置く」という人の領域に非ざるモノ。


それが概念操作によるものなのか霊脈支配によるものなのかは定かではないが今の日常を意のままに染め上げることのできる神がかった能力であることは確かだ。


そのような「現実を自らの望む形にする」程の異能が暴走している現状は論じることの必要がない非常事態だ。すぐにでも現場に駆け付けたいと気ばかりが急ぐ。


そんな美智流の気配を察したのか副官の彼は重いその口を苦々しい思いで開いた。


「熾天麒麟の巫女美智流様…貴女様は日常因果の守護者としての立場にある者。此度の事態には鹿島様や弓削様に陣頭指揮を一任しております。その方々の帰る場所の平穏を護ることこそ熾天の巫女の第一の役目でございましょう。」


「そうは言っても相手は古代の神格と同レベルの権能を奮う荒魂。いくら鹿島様たちといえども危険極まりない場に身を晒す事になるでしょう?八剱の家からもうめが前線に向かっているはず。私にもできることがあるのではないのですか?」


美智流は滾々と説かれた正論に対して負けじと理詰めで反論する。


護る力は前線にも必要なはず。私がいるといないとでは前線の継戦能力も違う…それこそ前線から実務部隊の皆を無事連れ帰る役目を私が勤めるべきではないのか?


美智流は副官に鋭い視線を突き刺し、自分の意思を突き付ける。ここで正論に迎合している場合ではないはずだ。


しかし美智流の威圧をサラッと受け流した副官はあからさまな落胆をその目に宿している。


それだけでなく侮蔑や嘲笑の色まで滲み出した目で副官の彼は静かに襟元の阿羅耶識の徽章を外して美智流の目を見返した。


彼の手の中の徽章がかすかな音を立てて割れたとき彼の全身から人ならざる気配が溢れ出す。


美智流がその気配の正体を認知したその瞬間、この場の現実の意味は頼りなく消失していた。




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