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ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー消えゆく追憶と日常からの解放ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

狂おしいほど追い求め続けた理想の日常像​。


それはあまりにもありふれた姿で目の前に現れた。


…しかしそれは当然のことであり因果の必然だろう。


彼女は脳裏に掠めた不安や猜疑心を意図的に排除してその輪の中へ踏み出した。


そしてできるだけ朗らかに話題を提供しようと考えて違和感に気づく。


私の為の居場所となる空間が無い。


皆はあまりにも楽しそうに会話に没頭していて対処してくれる様子はない。


あまりの不自然すぎる「自然体」に困惑は私の脳裏を埋め尽くしていく。


積み上げてきたはずの陽気さや人付き合いの良さや会話術はこの大事な時に役立ってくれそうにない。


さらにまたひとり目の前で輪の中に当然のように入っていく。


コミュニティの人間たちは嬉しそうに彼に話題を振り、おどけた彼に快哉を叫ぶ。


いったいどういうことだ?


彼女は今まで乗り越えてきた艱難辛苦を思い出して今この時の苦痛を和らげようと試みる。


当然のように虐げられ市民権を認められるまで貢献度を献上し続けた日々。


空想の中の観念的理想像を心の支えに耐え続けた日常の数々。


自分の理想像そのものの「現実」があると知った時の途方もない喜び。


…そしてこの神域に辿り着いた時の胸躍る高揚感。


正にそれらが私のこれからの幸福な日々を約束してくれるはず、だった。


彼女は受け入れられぬ目の前の「現実」に対して何の行動を示せることなく立ち尽くす。


あまりに異様なその在り方に神域の民のひとりが彼女に声をかけた。


「何かこの場に御用でしたか?」


その言葉を彼女が認識したとき、この場の「魔術的秩序」は音もなく崩れ去った。




「…その時の判断はあまりに不公平で恣意的ではなかったのではないですか?ミス斎木。」


「ずいぶんなご挨拶ですね?流石は誰にも絶対的で公平な死という概念を司る神の器、小此木さん。」


真の発した言葉にこの場の誰もが自らの血の引く音を聞いたに違いなかった。


周囲の時間が凍り付く中、詩愛はあまりにもぞんざいに投げつけられたその言葉をゆっくりと嚙み砕いて売られた喧嘩の意義のほどを考えた。


件の神域の住人といえどやはり最低限の「監査項目」はある。


しかし「神域」のことを知覚して辿り着けたならばそれなりの資格を持ち得ていただろう。


だが今回の件が勢力間での不穏な事態を誘発することは自明なはず。


そして例の”彼女”は「ノワール派」に属している過激派の一員でもある。


「神域」に対する感情も並々ならぬものであるだろうし日々の日常の破綻要因として見逃せるレベルの件ではないはず…


詩愛は問うべき言葉を頭の中で整理したうえで真へ疑問の意図を投げかける。


「いくら小山内家の領分が気に入らないと言えど藤御堂家側は要らぬ騒動の種を蒔くつもりはないのでしょう?それともいつもの貴女の独断専行だったと?」


凍り付いた小此木家の来賓室の空気はさらに体感温度を下げていてとても生物の生存を許可していないように感じた。


真は自らにまとわりつく死の気配に怯えることもなく、堂々と現在のスタンスを奏上する。


「タナトスの器である貴女にはわかるでしょう?あの神域が何を望んで創られ、維持されているかを…私もその”意思”をできるだけ尊重するものです。」


詩愛はその言葉に秘められた”意思”の意味を受け止め、自分のこれからの役目が縛られていくのを痛感するしかなかった。


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