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ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー未踏の地が求める誓約と制約ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

我らの成功の証は今存在している絆そのものである。違うかね…?


その言葉の不穏さに聴衆達の心はざわつきだした。


それではこれまで尽くしてその身を捧げていった同胞達は私的ネットワークの構築の為に使い潰されたと同義ではないのか。


誰もが不変で普遍的な救済を得られる枠組みの為では無かったというのか。


必然的な疑念が聴衆の胸中を焼き、生まれた猜疑心は登壇者への罵声に変わっていく。


登壇している彼はその様子を明らかな蔑視を持って見下ろしている。


"そろそろ潮時だな"。


あまりにも自分勝手な打算をして天を仰いだ壇上の彼は苦笑を浮かべて指を鳴らした。


瞬時に世界から色彩が失われて人々はモノクロの静止画と化す。


ありがとう。我が愛しき賛同者たちよ…あの日捧げてくれた誓いと願いは私がこれから有用に使わせてもらうよ。


彼は心にも無い感謝の念を残してその場を立ち去った。


あまりにも呆気なく日常は断絶されたのだ。




「それが当時締結された"茜色の誓約"のもたらした悲劇の実情だった、か。ご苦労様二階堂さん。」


ちひろは呼びつけてあった秘書に今後の事案対処を支持すると優芽に対して形式的なねぎらいの言葉をかけてこの場を締めようとした。


それは毎回の定例ルーチンとしての終了の合図。


誰もがやれやれと息を吐いて儀式的な返礼が優芽の口から紡がれるのを待っていた。


しかし当人からは何も告げる気配は感じられない。


ちひろのSPや黒服達は互いにアイコンタクトを交わして状況を伺う。


この橘本家において実働組織の執行役であり当主直系の人間であるちひろに対して非礼な真似をする事がどのような事態を招くのか知らないはずは無いだろう?


この場の現実を互いに確認したちひろの部下や使用人達は疎通した意志を目で上長に訴えかける。


そう"この客人の真意を今すぐ問い正すべきである"、だ。


それをただならぬ危機感の表れとして受け取めた彼らの上長は主であるちひろの側へ歩みよりその意を告げた。"彼女はこの場での儀礼を失念しておられるようです。どうか寛大なお心でそれを思い出させてくださいませ"。


ちひろはその遠回しな弾劾要求を一旦受け入れて、しかしささやかな疑念を抱く。


…これまで彼女との関係性は良好だった。なのに今回はこの場のメンツを潰すような意図的な間を作っている。いかにも不可解だしその意味がわからない彼女でもなかろう。


なら何故こんなに不穏な空気を作る意味が…


普段なら瞬時に断罪の判決を下すはずのちひろの意識に異常な濃度のノイズが走っている。


まさかこれは幻像?敵性異能者の攻撃ッ?


ちひろは一旦現状認識を遮断して自らの異能領域を展開する。


即座にこの場の色彩が失われて時が、因果の流れが停止した。


時間の概念を封印する私の異能はあらゆる可能性を休眠させる効果を合わせ持つ…まずは招かれざるお客様にご挨拶願うか。


ちひろは呼吸を整えつつ現状把握を再開してそして見てしまった。


目の前の旧知の友人がいつの間にか嗜虐的な笑みを浮かべてこちらに歩みよる様子を。


そして彼女の姿をした招かれざる客は易々とちひろの意識を凍結する事に成功した。



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