ギャラクシー"ジェネシス•コード"ー悪魔の矜持、天使の尊厳ー
- 5 日前
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あなたは嗜好品では無い…例えそれが客観的観測による事実であっても、ね?
とてつもなく長い説法のあと導かれた断定の言葉。
最早なにを求めてこの話を聞いていたのか忘れていた。
それでも彼女は笑顔を絶やさずにその言葉をもってこの議題を締めくくった。
彼女の周りを固めている従者達はまるで私に唯一無二の救済がもたらされたと感じて終始穏やかな目で佇んでいる。
そしてこの場の誰もが恍惚を共有しておりその歓喜の様子は一切の疑問を受け付けないだろう事は明らかだ。
しかし目の前で幾度もの"奇跡"を共有してきた記憶は私の意識と現実感を縛っており、彼女が掲げる"救い"無くしては日々の平穏すら維持できないのは自明である。
どこからともなく自分を納得させる思考が私を屈服させた。
そうだ…何も特別な力を有さない私でも彼女のような超越者と同じ世界を見る事ができる。
それこそが何より大事で大切な事ではないのか?
私は疑念と不信感を意識の奥へと閉じ込め、授けられるはずの「特別」を受容すべく自我意識そのものを移譲する儀式に望む。
彼女の襟元に輝く白金の蓮の花をあしらった徽章。
その怪しげで優雅な光が私の意識を現世から解き放った…気がした。
「それが今回の面倒事、"カテゴライズ•クライシス"というわけね…シルヴァ、あらゆる意識や概念を扱う儀式に精通している貴女の見識からの解説をお願いできる?」
ディーナは自らの不安感の混じった自説を一旦捨てて、このような案件に長けた世界のアルカナたるシルヴァリアに意見を求める事にする。
「そうだね…今回の問題は異能を持たない者と異能者の意識の壁を意図的に崩す事による「"現実"の再定義」というところだな。件の組織が考えそうな事だ。」
やれやれと肩をすくめたシルヴァリアはディーナに対して解説を続行する。
「つまり差別や格差を無くすという名目の元で一緒の幻想に浸り続けようというわけだ。さすが八百万の神を許容する国…いくらでも都合のいい教義があるものだな。」
ディーナは改めて眉間に深々と皺を刻み、話の先を促す。
今はそのような通りいっぺんの解説を聞きたいわけでは無いのだ。
「そう怪訝な顔をしないでくれディーナ。確かにこれは日本やアジアだけの問題では無い…むしろ様々な概念術式や儀式体系で日々の日常を維持しているこの欧州にも危機的状況を呼ぶ深刻な問題だ。そこでだ」
シルヴァリアはそこで一旦言葉を切ると"解決案"のプレゼンを始めた。
そのいかにも「楽しそう」な言説を小一時間聞かされたディーナはこれからの自分の実務がどれだけのハードワークとなるかを思い浮かべてより憂鬱な気分を抱える事となった。

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