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XMLギャラクシー"ジェネシス•コード"ー楽観的リスクマネジメントの招く惨劇ー

  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

今貴方が話してくれた「実用的なシナリオ」には現状どのくらいの価値があるのかしら?


彼女が発した"素朴な疑問"はこの場の熱量を容易く奪い去った。


…約束されていたはずの栄華への道。


あまりにも現実性を持ちすぎていた幻想はあっさりと私たちを見捨てたように感じている。


件の超越者が語っていた「普遍的」の中に自分たちは入っていなかったのだろう。


そう、あの日見た物心つかない幼子が書いたような絵日記構文形式の提案書には恥ずかしいぐらいのバラ色の未来が想定されていた。


失笑と嘲笑まみれになって”現実”の摂理に塗りつぶされるのが当然と思われたその物語は逆にこの世の常識と正着を塗り替えるにとどまらず新たなセカイの器を膨大な数生み出すに至っている。


息をするのと同じほどの容易さで幻想を具現化し続けたその提案書の書式はこの世の正しさまでをも定義しているのだ。


だからこそ私たちも自らの正しさを見直し、皆が辿った栄華へのプロセスに己が未来を賭けた。


しかし目の前に突き付けられた”現実”は今までと同じ絶望的存在感を持って私たちの行く道を閉ざしている。


いや話には聞いたことがあった。


”「聖典」のもたらす奇跡を行使するための手順と要求される天性の素質”。


神域に足を踏み入れる資格を試される試練が課される「門」の存在。


あまりにも眉唾ものの情報の為聞き流していたのだが、現状の手札がまるで役に立ってくれない現状がその重要性を主張している。


そこまで思い至った私は恐る恐る目の前の彼女に対してもの言いたげな視線を投げてみる。


そこで返ってきた彼女の憐憫と失望のない交ぜになった美しい相貌の色は私がこの世で見た最後の


情景となった。



「それでミストレスは今後の面談の予定を全て精査し直すことにした、か。また困った事になったものだ。彼女の機嫌が傾くことでどれだけの水面下交渉が無駄になるかあちら側はわかっているのか?アリス…私の精神衛生状態も限界だぞ?」


ステラは側付きのメイドに対してついに愚痴をこぼした。


そういえば極東には天国からの救いの糸に群がる亡者の話があったな。


やはり人間の業というのはそう簡単には変わらないものなのか。それにしても最近「聖典」関連の禁忌に触れようとしてくる者たちが起こす問題が増えすぎだ。


もしかして「聖典」のもたらす奇跡の一部やその書式運用に関するトップシークレット情報が洩れているわけではあるまいな。


ステラは湧き上がってくる頭痛の種の多さに眉をひそめる。


これではこの欧州を始めとする魔術文化圏にもいずれ同様の混乱が伝播してくるだろう…先々のために手を打っておく必要があるな。


「アリス…お前のクラウドネットワークは斎木の秘匿領域にもアクセスできた筈だな?直ちに”正識の門”についての閲覧権限を全て封鎖しておけ。EGO側には私から通達しておく。そして日本政府の担当官へアポイントを取っておいてくれ。」


ステラはそう言い残して執務室を後にした。


…後に残された側付きメイドの目に不穏な色が浮かんでいたことも確認せぬままに。



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